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» 2020年04月10日 07時00分 公開

ソーラーシェアリング入門(29):最新データで読み解く「ソーラーシェアリングの今」【件数・事業者・営農状況編】 (1/3)

太陽光発電と農業を両立する手法として、近年大きな期待と注目を集めている「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」について解説する本連載。今回は農林水産省が2020年3月に発表した最新のデータから「ソーラーシェアリングの今」を読み解きます。前編では導入件数や運営事業者、営農状況など関するデータについて解説します。

[馬上丈司 千葉エコ・エネルギー株式会社 代表取締役,スマートジャパン]

 2020年3月、ついに農林水産省がソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)に関する最新の統計情報を公開しました。今回の統計情報は、平成30年度末(2019年3月末)時点の都道府県別の新規許可件数や累計許可件数のみならず、農地区分・設置者と営農者の状況・栽培作物などの項目別に幅広いデータが集められています。この盛りだくさんなデータから「ソーラーシェアリングの今」を読み解くべく、これから2回に分けて解説していきます。

1.許可件数の推移

 まずは誰もが気になるであろう、単年度そして累計のソーラーシェアリングの農地一時転用許可件数です。平成30年度は新規許可が481件・146.9haとなり、単年度の許可件数として過去最高になりました。面積では平成28年度の方が多くなっていますが、同年以降に特高規模のソーラーシェアリングの完工が増えており、大規模な事業が立て続けに許可を取ったのではということが推測されます。

 また、平成25年度から6年間の経年変化の棒グラフを見ていくと、平成29年度の減少は改正FIT法の施行に伴うみなし認定手続きの混乱に伴うものと考えられるため、本来は平成29年度に取り組む予定だった事業が平成30年度にスライドしてきた可能性もあります。累計許可件数は1992件となり、私が当時各所で話していた約2000件という数字はほぼ当たっていたようです。

営農型太陽光発電設備の許可件数の推移 出典:農林水産省

 一方の再許可件数に目を向けてみると、平成30年度は前年度に比べて微減となっているのが気になりました。現在再許可を受けているのは全て3年以内の許可期間の設備なので、平成25年度の案件は平成28年度に再許可を受けるといった形で、新規許可件数+3年の時点の数値を対照してみると、平成27年度の新規と平成30年度の再許可では75件減っています。何らかの理由による年度跨ぎの再許可を考慮して、平成25年度から平成27年度までの新規合計と、平成27年度から平成30年度の再許可合計で比較してみると、ここでも81件の減少という結果です。

 この後の資料で、現在までに設備の撤去命令が出たことはないという記述があるため、この81件の事例は何らかの理由により再許可を受けなかった設備となり、ソーラーシェアリングの約10%は最初の再許可を受けることなく設備が廃止されたと考えられます。例外的な事例として、第2種や第3種農地で一時転用許可を受けたものが永久転用に転換したものもあるかも知れません。

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