最新データで読み解く「ソーラーシェアリングの今」【件数・事業者・営農状況編】ソーラーシェアリング入門(29)(2/3 ページ)

» 2020年04月10日 07時00分 公開

2.設備が設置された農地区分

 ソーラーシェアリングの設置が申請された農地の区分も、細かく公開されました。過去6年間の推移を見ると農用地区域内農地への設置が最多となっており、次いで第1種農地が多くなっています。ソーラーシェアリングは、一時転用許可という形式を取ることでこれらの農地に設置できることが取り組みとしての特色の1つになっていることから、この傾向は特に不思議なことではありませんし、当然の傾向だと言えます。

営農型太陽光発電設備が設置された農地区分 出典:農林水産省

 また、荒廃農地を活用している割合についても公表されていて、その割合は件数ベースで全体の15%となっています。この辺りの内容をより詳しく分析するに当たっては、件数だけでなく農地面積ベースのデータも欲しいところです。低圧・高圧・特別高圧に該当しそうな規模ごとに、どの種別の農地が活用されているのか、またソーラーシェアリングがどれくらいの面積の荒廃農地解消に寄与したのかなどは、この内容を評価するためにより詳しく知りたいポイントです。

3.設置者と営農者の状況

 こちらも興味深いデータの1つで、「ソーラーシェアリング設備のオーナーは誰なのか?」について整理されています。ソーラーシェアリングは、発電事業者・営農者・地権者の関係性によって5つの事業パターンが成り立ちますが、その関係性ごとの分類も可能なデータになっています。

 ただ、農業者でない設置者を発電事業者と称していますが、農業者も発電事業に取り組めば発電事業者と言えるので、表記には少し違和感を覚えます。何より、設備の設置者が営農しているかというデータも掲載されていますが、設備の設置者である発電事業者が営農もしているのだとしたら、その発電事業者は農業者ではないのか? となります。ここは、何か基準(農業が主であるか否かなど)がありそうですが、この資料からは読み解けません。

 設置者の属性は、大きく分けて発電事業者が58%、農業者が42%と発電事業者がやや多い結果となっていますが、私が持っている感覚より農業者が多いイメージです。また、農業者の中でも所有者以外(農地を借りている)の農業者が全体の17%で、農業者というカテゴリの中では40%を占めます。この中には、農地が親や祖父母など親戚名義の土地で、実質的には農業者自身のものに近い環境の事例も含まれていると思われ、その辺りをもう少し詳しく見てみたいところです。血縁関係にない所有者から借地している農地で、個人の農業者がソーラーシェアリングをやるという事例はあまり聞きませんが、法人の場合は珍しくなく、個人・法人の区別も評価に際して重要な情報になります。

営農型太陽光発電設備の設置者と営農者の状況 出典:農林水産省

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