固体酸化物型燃料電池を低コスト化、400℃で使える電解質を新開発蓄電・発電機器

九州大学と宮崎大学などで構成する研究グループは2020年5月、400℃の中温度で動作する固体酸化物型燃料電池(SOFC)に用いられるプロトン伝導性電解質を開発したと発表。固体酸化物型燃料電池の低コスト化実現が期待される成果だという。

» 2020年06月03日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 九州大学と宮崎大学などで構成する研究グループは2020年5月、400℃の中温度で動作する固体酸化物型燃料電池(SOFC)に用いられるプロトン伝導性電解質を開発したと発表した。固体酸化物型燃料電池の低コスト化実現が期待される成果だという。

 効率の高いSOFCは、一般的な動作温度が700〜1000℃前後とされている。この高温に耐えるために白金や耐熱材料が必要で、これが電池のコスト増につながっていた。

 研究グループがSOFCの動作温度を下げるための電解質として注目したのがプロトン伝導性電解質だ。SOFCに用いる電解質材料は、結晶粒内と粒界を含んだ全プロトン伝導度が0.01ジーメンス毎センチメートルを超え、かつ燃料電池動作環境に含まれる水素、酸素、二酸化炭素、水蒸気に対して安定でなければならない。しかし、こうした材料はこれまで見つかっていなかったという。

 今回、研究グループは、ジルコン酸バリウムにスカンジウムを60%で添加することで、新しいプロトン伝導性電解質材料の開発に成功。400℃の中温度でもプロトン伝導性を200時間にわたって一定の水準で維持できることを実証した。また、98%の高濃度の二酸化炭素を充満させた状態でも、240時間以上安定状態を維持できたという。

 開発し電解質をSOFCに用いれば、中温動作により高価な白金や耐熱材料が不必要となるため、燃料電池の大幅コストダウンが期待できるとしている。

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