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» 2020年07月16日 07時00分 公開

太陽光:コロナ禍を乗り越え、新エネルギー社会へ――太陽光は主力電源になり得るのか? (1/3)

コロナ禍は、日本の太陽光発電に、どのような影響をもたらすのか。世界のエネルギー情勢は、これを機に変わっていくのか。太陽光発電協会(JPEA)の最新発表のポイントを解説。あわせてIEA(国際エネルギー機関)によるグローバルレビューを紹介する。

[廣町公則,スマートジャパン]

 太陽光発電協会(JPEA)は2020年6月、新型コロナウイルスがもたらす太陽光発電業界への影響とコロナ禍を乗り越えていくための提言を取りまとめた。同協会では5月にも太陽光発電の長期ビジョン「PV OUTLOOK 2050」を発表しているが、さらに一歩踏み込んで、業界が直面する課題を整理したものとなっている。

「PV OUTLOOK 2050」の概要 出典:太陽光発電協会

 コロナ禍が及ぼす太陽光発電業界への影響については、次の2点を挙げる。

  1. 運転開始遅延によるFIT買取期間の短縮(FIT認定取得済み案件)。
  2. 新規案件開発およびFIT申請数の減少(今年度から数年先まで)。

コロナ禍による運転開始遅延に救済措置を

 まず、「1.運転開始遅延によるFIT買取期間の短縮」については、現行制度における運転開始期限の問題を指摘する。現行制度のままでは、工事着工の遅延などにより運転開始が遅れた場合に、FIT買取期間が短くなってしまうケースが多い。しかし、JPEAの事業者ヒアリングには、新型コロナウイルスのせいで「地元説明会が開催できない」「行政や金融機関との協議が進まない」「工事が一時的にストップした」などの声が多く寄せられたという。コロナ禍により、やむを得ず着工や竣工が遅れているケースが増大しているのだ。

 さらに、入札案件など大規模開発の許認可取得のタイミングが年1回のケースでは、数カ月の遅れが許認可取得と着工を1年以上遅らせる結果になることもあり得る。「FIT買取期間が短くなれば、発電事業者の収益悪化のみならず、資金調達や最終投資判断への影響も懸念される」とJPEAは指摘する。

 こうした状況を踏まえ、JPEAは国に対し「コロナ禍の影響で運転開始が遅れFIT買取期間が短くなる場合は、当初計画された買取期間が維持されるように救済措置をとること」を提言している。

柔軟な制度運用でバリューチェーンを守れ

 「2.新規案件開発およびFIT申請数の減少」については、「住宅用から入札対象の大規模案件まで、新規案件開発のための活動が滞り、今年度のFIT申請数が大きく減少することが懸念される」とする。実際、直近のFIT認定申請の申込期限(12月下旬〜1月上旬)まで6カ月ほどしか残されていない。特に、自家消費比率30%以上がFIT認定要件となり、ビジネスモデルの転換が求められている10kW以上50kW未満の小規模案件への影響は深刻だという。大規模案件に関しても、許認可手続きや環境アセスメントなどに多くの時間を要するため、開発件数が大きく落ち込むとの見通しだ。

 また、FITに依存しない自家消費型やCorporate PPAなどへの事業モデルの転換も、需要家による投資意欲の減退により進まなくなる可能性がある。さらに、新規案件の減少により、コスト低減も進みにくくなるだろう。JPEAは、結果的に「太陽光発電産業のバリューチェーン全体での事業縮小・事業撤退」が起こりかねないと警鐘を鳴らす。

 これらの問題に関しては、JPEAは2つの提言を掲げる。

  • 2020年度のFIT買取価格の適用期間を来年9月まで延長するなど、新規案件の創出・開発を下支えするようにFIT制度を運用すること。
  • FITに依存しない事業モデルへの転換と新規案件開発を促す制度的支援を行うこと(例:Corporate PPAモデル推進のための大規模補助事業など)。
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