上述の提言には、引き続き「太陽光発電の主力電源化」を推進していくという大前提がある。この提言に先立って発表された「PV OUTLOOK 2050」では、コロナ禍を乗り越えていくことの意義と決意を次のようにうたっている。
「PV OUTLOOK 2050」は、2050年の太陽光発電導入目標とそこに至る道筋を描いた業界ビジョンだ。その内容は、社会情勢や技術的背景の変化などを踏まえて何度か見直されているが、最新の発表では2050年までに300GW(ACベース)の導入を掲げている。前回のビジョンでは、2050年200GWの想定だったが、それではCO2排出量80%削減という政府目標を達成できないとして見直された。
JPEAでは、2050年300GWは、さらなる技術革新や低コスト化、系統制約の解消などにより十分に可能であるとする。一方で、コロナ禍の長期化が、業界ビジョンの実現にどう影響するかを見通すことは難しい。とはいえ、太陽光発電の必要性がより高まっていることは間違いない。JPEAとしては、先の提言に加えて、「第6次エネルギー基本計画において、脱炭素化を加速させ、より強靭で自給率の高いエネルギー需給システムを目指すことが示され、太陽光発電の主力電源化が着実に後押しされること」を求めていく考えだ。
コロナ禍を乗り越えた先にある日本のエネルギービジネスは、どのようなものになり得るのか。「PV OUTLOOK 2050」では、「再エネ、とりわけ太陽光発電システムが、あらゆる生活インフラにつながり、サービスを提供するインフラサービス支援の中核として発展していく」と予見する。技術革新、コスト低減への挑戦、多様な価値の提供を背景に、電力サービスだけではなく、通信インフラや生活インフラ、医療介護までフォローする広範な水平融合を実現する基盤になっていくという。
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