日本のエネルギー政策に転機の兆し、再エネ・ソーラーシェアリングはどうなるのかソーラーシェアリング入門(34)(2/3 ページ)

» 2020年08月03日 07時00分 公開

エネルギーミックスのその先を達成するために

 現在のエネルギーミックスの計画値から更に踏み込んで、原子力発電や火力発電の削減分も再生可能エネルギーで埋めるとしたら、どの程度の導入量が必要になるのでしょうか。仮に目標値をIEA(国際エネルギー機関)のStated Policies Scenarioにある37%とすると、再生可能エネルギーだけで4000億kWhの発電電力量が必要になります。

 総合エネルギー統計にまとめられている2010年度から2018年度までの発電電力量推移を見ると、現在は大規模水力発電まで含めて再生可能エネルギー全体で1773億kWhですから、今後10年で2227億kWhを導入し、FIT制度による大量導入が進んだ現在の実に2.25倍まで増やす必要があります。それでは、2030年に向けて大量導入が可能な再生可能エネルギーは何でしょうか。

2010年度から2018年度までの国内の発電電力量推移(出典:総合エネルギー統計)

 FIT制度が導入されてから、再生可能エネルギーの中で最も増加したのは言うまでもなく太陽光発電です。2010年度には発電電力量で国内の0.3%(35.4億kWh)しかなかったものが、2018年度には6.0%(626.7億kWh)にまで急激に増加しており、まさにFIT制度による再生可能エネルギー大量導入の成功例と言えます。他の電源種では、風力発電が約1.9倍、バイオマス発電が約1.6倍、地熱発電がほぼ横ばいであるのに対して、太陽光発電は実に17.7倍の増加を記録しています。

 太陽光発電以外の電源では、洋上風力発電が2030年に設備容量で1,000万kWを目標としており、発電電力量は推定で年間300億kWh程度です。ですが、洋上風力発電は海域利用の調整や大規模な送電網整備が必要となるため、一朝一夕に導入計画を数倍に出来るものではありません。他に、地熱発電は開発に10年単位でかかることも珍しくなく、バイオマス発電は輸入燃料の問題を抱えており、水力発電も大規模なダム式は既に開発余地がない状態です。そうなると、10年という時間軸で大量導入が可能となる再生可能エネルギーは、やはり太陽光発電だということになりそうです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.