日本のエネルギー政策に転機の兆し、再エネ・ソーラーシェアリングはどうなるのかソーラーシェアリング入門(34)(3/3 ページ)

» 2020年08月03日 07時00分 公開
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高まるソーラーシェアリングの重要性

 太陽光発電の更なる大量導入が必要とすると、どの程度の規模になるでしょうか。仮に2227億kWhの追加的な再生可能エネルギー導入が必要として、そのうち年間1500億kWhを太陽光発電で確保するとすれば、1億1000万kW程度の設備が必要です。これをソーラーシェアリングに置き換えてみると、1億1000万kWの導入に必要な農地面積は14万haほどです。これは、国内の農地面積約440万haの3%で足ります。実際には太陽光パネルの性能向上が目覚ましく、10年前と比べても同じサイズの太陽光パネルで1.5倍以上の発電量が得られるようになっており、必要な面積はより少なくなっていくでしょう。

 しかも、ソーラーシェアリングの場合はエネルギー消費地である都市部の外周にある農地を活用することで、必ずしも大規模な送配電網に対する投資を行わずとも導入が可能です。その点でも、大量導入のために必要な時間が短くなります。東京都を中心とした一都三県でも22万4620haの農地があり、もしその10%にソーラーシェアリングを設置すると年間250〜300億kWh程度の発電量が見込めます。

 このソーラーシェアリングの導入ポテンシャルは、今年5月に太陽光発電協会(JPEA)から公表された「PV OUTLOOK 2050」でも挙げられており、太陽光発電の2050年時点の最大導入ケースで1億1600万kW(116GW)の導入想定が示されています。下記の図の赤枠の中が、農業関連となっています。

PV OUTLOOK 2050における太陽光発電の導入場所(出典:太陽光発電協会)

 今回のエネルギー政策転換の動きによって再生可能エネルギーの更なる大量導入に舵が切られれば、次は「どの電源を増やしていけるか」が議論されることになります。その時には、ここまで取り上げられたようにソーラーシェアリングが大きなポテンシャルを持っていることを示しつつ、導入を後押しするには何が必要になるかを考えていくことになるでしょう。

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