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» 2021年10月18日 07時00分 公開

脱炭素技術を顧客と「協創」、日立がエネマネ実証環境を構築自然エネルギー(1/2 ページ)

日立製作所(日立)が脱炭素関連技術を駆使したエネルギーマネジメントシステムの実証環境を構築し、運用を開始した。顧客とのオープンな協創を通して、社会課題を解決する環境イノベーションの創出を目指す。

[廣町公則,スマートジャパン]

 日立は2021年10月、同社中央研究所(東京都国分寺市)内の「協創の森」において、発電・蓄電・設備保全などの脱炭素関連技術を結集させたエネルギーマネジメントシステムの実証環境を構築し、運用を開始したと発表した。この実証環境を活用し、環境分野における顧客との協創を推進し、新たなエネルギーソリューションの創出を目指すという。

企業の再エネ導入拡大を支援するオープンな実証環境

 実証環境の構成は、太陽光発電システム、蓄電池、ガスコージェネレーションシステム、EV急速充電器などを接続した直流型分散グリッドからなり、これらに発電設備の故障・寿命予測技術や電力需給調整システム、AIを活用した電力取引システムなどのエネルギーマネジメントシステムが連携する。

(図1)今回構築した実証システムのイメージ 出典:日立製作所

 日立では、この環境を、再生可能エネルギーの安定的・効率的・経済的な運用やゼロエミッション化を目指す顧客に、実証実験の場として提供する。実際の設備やシステムを自由に組み合わせることで、「日立と顧客のゼロエミッション化を推進するとともに、環境分野での顧客協創を推進し、新たなエネルギーソリューションの創出を目指す」という。

 エネルギーマネジメント実証環境構築の背景を、同社は次のように述べている。

 「世界各地で自然災害が多発する中、各国首脳は2050年のCO2排出実質ゼロを宣言し、2030年までの排出削減目標引き上げの取り組みが始まっています。エネルギー需要家は、これまで以上に非化石エネルギーの導入が求められる一方、コスト削減や災害時のレジリエンス性などにも考慮する必要があります。また、火力発電所などの大規模集中型の電源と、再生可能エネルギーを中心とする分散型電源を調和させたエネルギーマネジメントシステムの開発も進められてきましたが、エネルギーの需要量や再生可能エネルギーの発電量の変動から生じる電力量インバランスの制御が困難なことがエネルギー需要家にとって課題でした。

 そこで日立は、顧客やパートナー企業が再生可能エネルギーの導入検証や、日立との新たなエネルギーソリューションの協創を行えるように、協創の森の中に、街区・工場・ビル・データセンターなどのエネルギー消費設備を有する多様な業界を想定した直流型の分散グリッドと、日立が半導体や情報通信分野で培ってきた制御技術を生かしたエネルギーマネジメントシステムを組み合わせた実証環境を構築しました」

高精度な発電制御、需給調整、環境価値取引が可能に

 同エネルギーマネジメントシステムに生かされている特長的な技術には、以下の3つがある。

1.半導体技術を活用した、高精度かつ短時間に故障・寿命を予測可能な発電設備制御技術

施設内の建物屋上に設置された太陽光発電システム

 太陽光発電や蓄電池の電力データを半導体モデルで解析し、細かい時間単位でエネルギーをデジタルデータに変換することで、高精度かつ短時間の発電設備制御が可能。設備の状態をリアルタイムに管理することで、故障や寿命を短時間で予測することができる。太陽光発電においては、センサレスで故障モジュールを自動検知するとともに、発電効率の最適化を実現。蓄電池においては、健康状態を数秒で診断するとともに、状態に応じた制御をすることで、長寿命化を実現する。

2.エネルギー需給の高精度マッチングと電力量インバランスを解消する制御アルゴリズム

 上記1の技術を用いて、蓄電池の充電・放電を制御し、需要(使用電力)と供給(発電)のギャップを調整することで電力需給調整を行う。蓄電池の充電状態を電圧に変換し、蓄電池電圧と直流バス電圧をリアルタイムに制御することでエネルギー需給変動に対する高速応答と高精度なマッチングを実現し、電力量インバランスを解消する。

3.AIを活用したエネルギー・環境価値取引システム

 上記1および2の技術を用いて、エネルギー取引市場予測により経済性が成り立つエネルギー調整力(蓄電池、コジェネレーションシステム)の運用計画を短時間に立案できる。最適なタイミングでの電力売買取引により、エネルギーシステムコストの削減が可能となる。また、調整力を活用した取引を行うことで、新たな収益を得ることもできる。さらに、使用電力が100%再生可能エネルギーであることを証明するシステムとともに運用し、再生可能エネルギー使用状況の見える化を実現する。

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