太陽光発電を目的とした林地開発許可は厳格化へ、複数の基準を見直す方針に法制度・規制(1/3 ページ)

国内で導入が広がった太陽光発電だが、森林地帯における開発などが防災や周辺環境に与える影響も懸念されている。今後、太陽光発電を目的とした林地開発許可は、厳格化される見通しだ。

» 2022年06月10日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 太陽光発電等の再エネ発電事業者は、その企画立案から設備の撤去・廃棄までのライフサイクル全体において、関係するすべての法令・条例等を順守することが責務とされている。その関連法令の一つが、本稿で紹介する林地法である。

図1.再エネ発電事業 ライフサイクルを通じた法令順守 出所:太陽光発電協会

 2012年のFIT開始以降、林地においては特に太陽光発電施設の設置を目的とした開発行為が増加しており、2013〜2020年度までの累計では、件数で約13,000件、面積で約19,000haに上る(ただし、これに関する設備容量kWは非公開)。

図2.林地開発許可制度における太陽光発電の推移 出所:林野庁

 太陽光発電に限らないが、林地の開発行為が不適切である場合、土砂災害や濁水等が発生するおそれがある。このため、林野庁は2019年に『太陽光発電に係る林地開発許可基準の在り方に関する検討会報告書』を取りまとめ、太陽光発電を設置する際の防災施設の内容や、排水施設の計画、地表保護のための措置、残置森林の配置などの林地開発許可基準を整備してきた。

 林野庁では「太陽光発電に係る林地開発許可基準の在り方に関する検討会」を設置し、近年の災害発生状況や降雨形態の変化等を踏まえ、許可基準全般にわたって以下のようにフォローアップを実施している。

森林法に基づく開発許可

 森林法では、森林の保続培養と森林生産力の増進を図り、国土の保全と国民経済の発展に資することを目的としており、保安林制度や林地開発許可制度が定められている。

図3.森林法に基づく開発規制や手続の区分 出所:林野庁

 このため、森林計画の対象となる民有林(保安林を除く)において、1ha超の開発(盛土・切土等)を行う際には、事前に都道府県知事の許可を得る必要がある。なお1haという基準は、1974年の林地開発許可制度創設時に設定されたものである。

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