新経済連盟が「カーボンニュートラルビジョン」を公表、その政策提言の内容とは?(1/3 ページ)

マーケットメカニズムに立脚したGX(グリーントランスフォーメーション)の加速、金融市場機能を生かした新たな資金循環、これらを後押しするルールメイキングとは? 新経済連盟が公表したカーボンニュートラルビジョンの内容を紹介する。

» 2023年06月05日 07時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]

 一般社団法人 新経済連盟(代表理事:三木谷浩史)が2023年4月26日、政策提言「新経済連盟カーボンニュートラルビジョン」を公表した。5月17日に都内で説明会を開催し、同連盟カーボンニュートラルワーキンググループ座長の吉田浩一郎氏(クラウドワークス代表取締役社長)と同副座長の城口洋平氏(ENECHANGE代表取締役CEO)が提言の解説を行った。

新経済連盟カーボンニュートラルワーキンググループの吉田浩一郎座長(クラウドワークス代表取締役社長)と城口洋平副座長(ENECHANGE代表取締役CEO)

 新経済連名は、「eビジネス、ITビジネスをはじめとしたさまざまな新産業の発展を通じ、国政の健全な運営、地域社会の健全な発展に資すること」および「新産業の公正かつ自由な経済活動の確保、促進及びその活性化による国民生活の安定向上に寄与すること」を目的に、2012年に設立された経済団体。スタートアップから大企業まで、規模や業種の垣根を越えて多様な企業が加盟しており、約50名の理事・幹事のうち半数以上を創業者が占める。

 今回発表された「新経済連盟カーボンニュートラルビジョン」は、カーボンニュートラル実現のために国が取るべき政策の方向性に関して、連盟としての考え方を示したもの。まず、基本方針として次の5つを挙げている。

カーボンニュートラルビジョン/基本方針

  1. 日本全体の構造改革(ジャパン・トランスフォーメーション)実現に向けては、「民にできることは民に」の原則が肝要
  2. 新経済連盟は昨今の国際的な環境問題、特に温室効果ガス排出に起因する気候変動問題を重要な市場変化と捉えている。カーボンニュートラル推進・実行のためには、民間の力が十分に引き出せるような仕組みが必要であり、そのためにはスタートアップ/ベンチャーやデジタルの力を生かすことが不可欠
  3. 競争が促進され、それによって「新結合」も次から次へと生まれていく環境を整備していくことが必要であり、民間の自律的な動きを加速するための国内環境整備を進めながら、国際的なルールメイキングを先導していくことが重要
  4. グリーントランスフォーメーション(GX)の加速化に向けては、政官民の相互協力が必須であり、そのためには、市場(マーケット)・金融(ファイナンス)・仕組みづくり(ルールメイキング)の3領域における改革を同期性をもって実行し、かつ有機的に相互連携させる必要がある
  5. 新経済連盟は、スタートアップ/ベンチャー振興・デジタル活用により民間の力を引き出しつつ、2050年カーボンニュートラル実現目標を確実に達成するため、市場・金融・仕組みづくりの3領域で必要とされる施策を時宜に応じて提言していく。
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