具体的には、最終製品(例えば自動車)における「各工程の排出削減量の総量」を最終製品メーカーが主張することを可能としつつ、原材料段階としての削減量を素材メーカーが同時に主張することも可能とする、ことが提案されている。
仮にこの手法が採用される場合、例えばCO2を従来比1トン削減した鉄鋼Aがある場合、それを使用した自動車Bでも従来比1トンの削減となるが、本指標はダブルクレーム(二重主張)を許容することとしており、鉄鋼メーカーと自動車メーカーの双方が、1トンの削減量をアピールすることが可能となる。
また同様に、原材料段階での新たな施策により、使用段階におけるエネルギー使用量の削減や、資源循環による廃棄の回避を通じて、ライフサイクルCO2の排出量を削減することも想定されるが、このような施策を実施した素材メーカー自身の排出量はむしろ増加する場合もある。
このため研究会では、ライフサイクルCO2排出削減促進の観点から、最終製品における「各工程の排出削減量の総量」を最終製品メーカーが主張することを可能としつつ、廃棄段階の削減量を素材メーカーが同時に主張することも可能とする、ことが提案されている。
製品のライフサイクルを通じたCO2排出量や削減量を客観的・定量的に示す指標には、その目的や評価軸の違いにより、すでに幾つかの指標が存在し、代表的な指標・手法としては、排出量そのものを表す「カーボンフットプリント(CFP)」や、ベースラインとの差分を推量した削減量「カーボン・クレジット」などがある。
しかしながら、これらの用語や概念は混同されることも多く、必ずしも広く定着しているとは言えないものもあるため、研究会では脱炭素・低炭素な製品を表す指標を比較し、その課題を整理している。
表1の「削減貢献量」(Avoided Emissions)とは、算定主体自身の削減ではなく、社会で実現した削減量を表す指標であり、その「ソリューション」とは、製品・サービス・技術・プロジェクトなど、幅広く排出削減に寄与する取組を意味している。
また、「削減貢献量」ではIntervention方式(図4)に基づき、ライフサイクル全体(主に使用段階)を想定し、自社が提供するソリューションが実装された場合と、そうでなかった場合(レファレンスシナリオ)の排出量の差異を表すものと定義されている。このため、「削減貢献量」では、実績ベースでの削減量だけでなく、排出削減量の見込みを事前に算出することが可能となっている。
また、GXリーグの「グリーン商材付加価値WG」では、削減量を評価する新たな指標として「ΔCO2(デルタCO2)」を提唱している。ΔCO2は、削減努力によって生じた基準値CFPからの差分(Δ)を排出削減量として表すものであり、CFPの活用を前提とした仕組みである。
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