資源エネルギー庁はFIT制度からFIP制度への移行促進に向け、新たな施策の検討を開始した。はやければ2026年度から、再エネ電源に対する出力制御の順番を「FIT→FIP」の順に変更する。
FIP制度は、再エネ電源を電力市場への統合を図る仕組みとして2022年4月に導入された。2024年3月末時点のFIP認定量は、新規認定・移行認定の合計で、約1,761MW・1,199件に上る。ただし、事業用太陽光発電を見れば、FIP制度の活用率は出力ベースでわずか0.7%、件数ベースで0.1%に留まる状況である。
市場メカニズムを活用しながらkWhベースで再エネ電力を最大限導入するためには、FITからFIP制度への移行を促す必要があるため、資源エネルギー庁の「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」では、新たな「市場統合措置」の導入について検討が行われた。
FIP制度では、発電事業者が発電量予測を行い、発電計画を作成し、計画値同時同量を達成するため、その後の予測誤差への対応が求められる。自然変動電源(太陽光・風力)では相対的にこれが困難であるため、一定の習熟が得られるまでの間の激変緩和策として、FIPプレミアムに上乗せして、バランシングコスト(BC)が交付されている。
FIP開始当初は、2022年度を起点(BC 1.0円/kWh)として、BCを次第に低減させる方式としていたが(図1の上図)、FIPへの移行を促すため、運転開始初年度のBCを1.0円/kWhとする方法へ変更された。(太陽光:2024〜2026年度に運転開始、風力:2024〜2027年度に運転開始)
このBCコスト交付方法変更以外の要因もあり、FIP認定件数は新規・移行のいずれについても、2023年度下半期に大きく増加している。
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