太陽光発電協会(JPEA)が「ソーラーウィーク2024」を開催。地域社会に貢献する注目の太陽光プロジェクトを表彰する、ソーラーウィーク大賞も発表が行われた。今年の大賞に選ばれたプロジェクトとは?
太陽光発電協会(JPEA)は、2024年11月6日から15日まで「ソーラーウィーク2024」を都内ホールで開催した。ソーラーウィークは、太陽光発電が国と地域に大きな便益をもたらす自立した基幹エネルギーとなることを目指し、克服すべき課題や解決策について事業者・需要家・自治体など多くの関係者がともに考え、議論する場として設けられた。
会期中は、シンポジウムや各種セミナー・ワークショップが催されるとともに、「ソーラーウィーク大賞」の授賞式も行われた。ソーラーウィーク大賞は、「地域のなかで役割を果たす太陽光発電が全国に広がるよう、太陽光発電事業の地域貢献の可能性について多くの方々に知ってもらうこと」を目的に、JPEAが昨年創設した注目のアワードだ。
シンポジウムでは、経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課長の日暮正毅氏、環境省 地球環境局 地球温暖化対策課長の吉野議章氏、国土交通省 住宅局 建築環境推進官の佐々木雅也氏が、それぞれに来賓講演を行い、健全な太陽光発電の導入促進に向けた各省の政策について解説した。
これに続く基調講演では、東京大学大学院 未来ビジョン研究センター 教授の高村ゆかり氏が「エネルギー基本計画の改定と再生可能エネルギー」をテーマに登壇。京都大学大学院 経済学研究科 教授の諸富徹氏が「電力システム改革の転換点」について、東京理科大学 工学部 電気工学科 教授の植田譲氏が「太陽光発電の主力電源化に向けた課題」についてレクチャーした。その他、「地域に裨益する分散型エネルギーシステム」「オフサイトPPAの拡大で進めるビジネスの脱炭素化」「主力電源化に不可欠な蓄電池の導入拡大」など、太陽光発電を取り巻く主要テーマが論じられた。
さらにセミナーでは、「人権デューディリジェンス」や「改正FIT法における効率的な説明会や事前周知の運用について」「長期安定電源化に向けた保守点検」「集約化」「適正処理リサイクル」「ケーブル盗難」「農業分野での太陽光発電利用」「建築物向け太陽光発電システム(BIPV)」など、今日の太陽光発電業界が直面する喫緊の課題、今後のビジネスに直結する具体的な話題が幅広く取り上げられた。
ソーラーウィーク初日(11月6日)には、ソーラーウィーク大賞の授賞式もあり、太陽光発電関係者だけでなく、地域再生に取り組む人たちなど、幅広い層の関心を集めた。同賞は、「地域に貢献し、地域から望まれ、他の模範ともなる太陽光発電の普及拡大に資する取り組み・事業とそれを支えている方々」を表彰するものであり、第2回となる今年は、ソーラーシェアリングなど農業と一体になった試みに高い評価が集まった。
【大賞】
環境配慮型再エネ×脱炭素農業=地域再生(千葉県匝瑳市)
代表事業者/市民エネルギーちば株式会社
【優秀賞】
相模原市発・地域共生型ソーラーシェアリングのモデル化の取り組み(神奈川県相模原市)
代表事業者/たまエンパワー株式会社 共同事業者/株式会社さがみこファーム
【優秀賞】
広域連携(酒匂川流域循環共生圏)による営農型太陽光発電を基軸にした食エネ自給のまちづくり(神奈川県小田原市)
代表事業者/合同会社小田原かなごてファーム
【特別賞】
農業×エネルギーの新たな可能性を拓く〜垂直式太陽光発電を活用した牧草地の持続可能な利用に関する実証研究〜(北海道江別市)
代表事業者/自然電力株式会社 共同事業者/学校法人酪農学園フィールド教育研究センター
【特別賞】
電気と野菜の同時栽培「ソーラーファーム」〜夢のある新しい社会のカタチ〜(群馬県)
代表事業者/ファームランド株式会社 共同事業者/有限会社ファームクラブ、ファームドゥ株式会社
【特別賞】
再生可能エネルギーでまちづくり〜ソーラーシェアリング市民農園で食とエネルギーの未来をつくる〜(兵庫県宝塚市)
代表事業者/株式会社宝塚すみれ発電 共同事業者/生活協同組合コープこうべ
【特別賞】
地域コミット型太陽光発電による収益還元の展開(徳島県)
代表事業者/一般社団法人徳島地域エネルギー 共同事業者/株式会社みつばちソーラー発電所
審査委員長を務めた京都大学教授の諸富徹氏は、次のように総評を述べている。
「太陽光発電は、その規模・量も大事ですが、これからの時代、地域再生型の事業をもっときちんとやっていく必要があると思います。今回受賞されたみな様は、ほぼ全員、全グループが何らかの形で地域再生に関わる事業をされており、かつそのプロジェクトを成功に導かれています。今回の選考については、地域を発展させていくというところへの貢献と、それをしっかりとビジネス化しつつ、成果を出されているという点を高く評価させていただきました。そこにあるのは地域の経済を活性化し、雇用を増やすなど、いろいろな意味でプラスな効果を地域にもたらしていく事業です。今日の受賞をきっかけに、各事業がさらに発展することを期待しています」
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