大賞を受賞した市民エネルギーちばの取り組みについては、太陽光発電の活用によるソーラーシェアリング20haでの有機農業、16haに及ぶ耕作放棄地の営農再開、移住者・新規就農者への支援、地域レジリエンスを改善している点などが高く評価された。
「この度は栄えあるソーラーウィーク大賞を受賞することができ、大変光栄に存じます。地元の農家さん、農業委員会、匝瑳市、パネルオーナーの皆さん、出資をしてくださった方、社債を引き受けてくださった企業さん含めて、多くの皆さま方のご理解とご協力とご支援のおかげです。本当にありがとうございました。今後の展開については、まず全国に健全なソーラーシェアリング、地域を元気にするようなソーラーシェアリングを、47都道府県に最低でも1カ所ずつ作っていくという目標があります。そのためには、トータルでソーラーシェアリングのことが分からなければならないので、ソーラーシェアリングアカデミーというプログラムを運用して、人材育成に努めてまいります。それから、ペロブスカイトをソーラーシェアリングと融合させることも進めていきたい。そのための製品開発を並行して進めてまいります」
優秀賞の2件もソーラーシェアリングを軸にした事業であり、いずれも地域共生・地域課題解決への取り組みが評価された。優秀賞の1社である、たまエンパワー 代表取締役社長の山川勇一郎氏は、「ソーラーシェアリングに取り組むにあたり、地元で農業法人を立ち上げました。私たちの場合は、観光農園という形で農地を外に開いています。観光、SDGs、防災、そういったことも含めて、エネルギー、農業、あるいは地域の課題解決に資するような取り組みができないかということで、この5年間やってきました」と述べている。
授賞式の後に催されたレセプションでは、JPEA代表理事の山口悟郎氏がこう話す。
「世界各地で異常気象や激甚震災が頻発する中にあって、脱炭素社会の実現は、一刻の猶予もありません。われわれの業界に課せられた大きな責務ともいえるでしょう。再エネ主力電源化の早期実現は、ますますその重要性が高まるばかりです。当協は引き続き、再エネ主力電源化の前提となる“地域との共生・共創に基づく太陽光発電の健全な普及”を目指し、積極的に活動してまいります」
ソーラーウィーク大賞は、今年2回目というまだ新しいアワードだが、これからの太陽光発電の在り方を照らし出すものになることは間違いないだろう。地域共生型太陽光発電の普及促進に向けて、同賞の意義は増すばかりだ。
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