2月18日に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」。2040年に向けた中長期のエネルギー政策の方向性や見通しをまとめた同計画について、本稿ではそのポイントを解説する。
2021年10月の「第6次エネルギー基本計画」の策定以降、ロシアによるウクライナ侵攻やDXの進展など、日本を取り巻くエネルギー情勢は大きく変化している。
そんな中、2025年2月18日に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」は、2040年度までに温室効果ガス(GHG)を2013年比73%削減するという、日本が国連に提出した「NDC(国が決定する貢献)」と整合的な形で策定されたものである。国は同計画の他、「GX2040ビジョン」「地球温暖化対策計画」も一体的に捉え、エネルギー安定供給、経済成長、脱炭素の同時実現に取り組んでいくこととしている。
なお、第7次エネルギー基本計画の内容については関連記事「第7次エネルギー基本計画の原案が公開 2040年の電源構成は再エネが最大想定に」も参照願いたい。
まず、東京電力福島第一原子力発電所事故の経験、反省と教訓を肝に銘じて取り組むことが、引き続き国のエネルギー政策の原点である。
また、エネルギー政策の基本的視点として、安全性(Safety)を大前提に、エネルギー安定供給(Energy Security)を第一として、経済効率性の向上(Economic Efficiency)と環境への適合(Environment)を図るという「S+3Eの原則」の重要性は不変である。
DXやGXの進展による電力需要増加が見込まれる中、それに見合った脱炭素電源を国際的に遜色ない価格で確保できるかは日本の産業競争力に直結する状況となっている。このため、エネルギー安定供給と脱炭素を両立する観点から、再エネを主力電源として最大限導入するとともに、特定の電源や燃料源に過度に依存しないようバランスのとれた電源構成を目指していくこととしている。よって、次世代革新炉への建て替えを対象として、原子力発電所の新設を進めていくこととした。
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