ファーウェイが「スマートエネルギーWeek春2025」に出展。中規模モデルの産業用向けをはじめ、蓄電池関連の新製品を披露した。
ファーウェイは、「スマートエネルギーWeek春2025」(2025年2月19〜22日、東京ビッグサイト)に出展し、産業用蓄電システムなどの新製品を披露した。
実機展示された新製品は、定格容量215kWhの中規模産業用蓄電システム「LUNA2000-215-2S11」と4472kWhの大規模産業用蓄電システム「LUNA2000-4472-2S」、そして7〜21kWhの住宅用蓄電システム「LUNA2000-7/14/21-NHS1」の3機種。それぞれに従来機種から性能面でアップデートを図っており、住宅・店舗向けから系統用まで、日本市場の蓄電池ニーズにより柔軟に対応できるようになった。
ここでは、従来機種と比べて見た目も一新された中規模産業用蓄電システム「LUNA2000-215-2S11」について紹介する。同製品は、日本国内でも多数の導入実績がある「LUNA2000-200-2H1」の後継機種であり、これまで筐体(キャビネット)の外側に設置されていたパワーコンディショナーとDC/DCコンバータをキャビネット内部に納めることで、すっきりとした外観に仕上げられている。
キャビネット内部の機器は、すべて装着済みの状態で出荷されるので、現地では設置工事のみで導入可能。電池パックについても、これまでは現地でキャビネットに装填しなければならなかったが、新機種は装填済みの状態で運ばれてくるので、手間もリスクも大幅に減らすことができるという。
新モデルの特長の一つとして、新たに「ハイブリッド冷却システム」を採用した点が挙げられる。ハイブリッド冷却とは水冷と空冷を組み合わせたもので、電池セルの発熱状態や環境温度の違いに合わせて、最適な冷却状態になるようコントロールするファーウェイ独自開発のシステムだ。
例えば温度が高い時には、「水冷ユニット」と「空冷モジュール」が同時に稼働し、電池セルの急速冷却を実行する。常温時には「自然空冷」のみとなり、さらに極低温になった際にはパワーコンディショナーの「廃熱」を利用して適正温度をキープするといった具合いだ。
それぞれのモードへは自動で切り替わるので、運用面でも手間を掛けることなく、効率的かつ効果的に冷却を行える。これにより、消費電力を従来モデル比で30%以上削減することが可能になったという。
他のファーウェイ製品と同様、新製品についてもさまざまな機能で安全性を追求した。具体的には、電池セル内部の短絡を瞬時に遮断して火災事故を防ぐとともに、電池パックの6面断熱化などにより、発熱の影響が拡大することを阻止。さらに、電池パック内部への酸素の進入を遮断することで火災を抑え、万一の場合には、消火装置が作動して速やかに鎮火する仕組みとなっている。加えて、指向性排煙装置を導入するとともに、キャビネット上部には圧力開放弁を設置。非常時にはこの開放弁を通じて内部の可燃性ガスを排出し、最悪の場合でも爆発という事態には至らないよう設計されている。
その他にも、キャビネットに設置された各種センサーとクラウドシステムの連携により13項目以上の異常検出が可能。障害時には即時警告を通知するなど、通信技術を活用した安全機能も搭載されている。
なお、この新製品を含むLUNA2000 S1シリーズは、2024年12月にドイツの第三者認証機関であるTUV Rheinlandから、蓄電システム安全分野としては世界初というPrimeレベルの認証を取得している。
もちろん、蓄電池としての基本性能もアップしている。電池パックごとのBMU(バッテリー・マネジメント・ユニット)搭載により充電率のばらつきを抑え、つねに安定した出力を発揮する能力は定評のあるところだが、この新機種では電池パックそのものを見直し、充放電性能のさらなる向上を図っている。
そして、新製品は最大50台までの併設も可能だ。これにより、系統用蓄電池としても十分なポテンシャルを持つこととなった。前後・左右、自由にレイアウトすることができるので、設置スペースに制約が大きい太陽光発電所併設蓄電池としても導入しやすく、工場など需要地での自家消費用途にも対応可能だ。
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