住友電工が新開発のレドックスフロー電池を披露。30年の長期運用にも対応したのが大きな特長だ。
住友電工は「SMART GRID EXPO スマートグリッド展」(2025年2月19〜21日、東京ビッグサイト)に出展し、新開発のレドックスフロー電池を披露した。2025年度中に受注を開始する予定だ。
レドックスフロー電池は不燃性の電解液を利用し、消防法上の危険物に該当しないなど、安全性に優れるという特長を持つ。また、電解液の量を変えることで最大放電容量をニーズに応じてアレンジできる他、充放電を繰り返しても電解液や電極の劣化が生じないというメリットがある。こうした特性から、昨今日本でも需要が高まっている「長期エネルギー貯蔵システム(LEDS)」向けの選択肢として注目されている。
今回、住友電工が発表した新型のレドックスフロー電池は、従来モデルと比較して電解液1立法メートル当たりのエネルギー密度を15%向上させた。また、設計の最適化などにより、コストを従来比で30%削減している。
さらに大きな特長として、新規開発の長寿命材料を採用したことで、30年間の運用にも対応した。電解液や電極の交換などは不要であるため、空調設備の部品など、一部の部材を定期的に交換するだけで、長期にわたって運用が行えるという。
新型のレドックスフロー電池は、3時間の放電に対応する20フィートサイズ(放電容量:1000kWh)、4時間に対応する30フィート(放電容量:1334kWh)、6時間に対応した40フィートサイズ(放電容量:2000kWh)の3種類を基本のラインアップとする。ただし顧客のニーズに応じて、8時間以上の充放電にも対応するシステムにも対応可能だ。
最近では長期脱炭素電源オークションにおいて系統用蓄電池の入札が急増するなど、系統向けの大型蓄電池のニーズが増加している。また、太陽光発電に蓄電池を併設した“FIP転”の事例も登場しはじめている。こうしたなかで、充放電時間の長い大型の蓄電システムの需要も高まる傾向にある。
住友電工は従来のバックアップ電源用途だけでなく、こうした最近のトレンドに向けてレドックスフロー電池の提案を進めていく考え。初期の導入費用では市場で主流のリチウムイオン電池より高額になるケースが多いが、新モデルは30年の運用に対応したことで、中長期の運用においてはコスト優位性が期待できるとしている。また、30年の運用対応によって、長期脱炭素電源オークションなどにおける応札価格の抑制への貢献も期待できるとした。
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