再エネ電源の大量導入を背景に、日本でも電力系統への導入が加速している定置用蓄電池。その普及拡大や市場創出を目指す資源エネルギー庁の「定置用蓄電システム普及拡大検討会」では、蓄電システムのコスト構造や収益性についてのレポートが公開された。
再エネ電源の大量導入に対応する調整力の確保やレジリエンス向上の観点から、蓄電システムの普及拡大が期待されている。
2024年3月末時点、全国の系統用蓄電池の接続検討受付は約4,000万kW、契約申込は約330万kWに上り、2030年に系統用蓄電池は累計14.1〜23.8GWh程度、家庭用、業務・産業用蓄電池は累計約24GWhの導入が見込まれている。
現在、蓄電システムに対しては多額の補助金が充てられているが、今後は自律的な導入拡大や持続可能な市場の創出が求められる。このため、資源エネルギー庁の「定置用蓄電システム普及拡大検討会」では、蓄電システムのコスト構造や収益性の見込みについて検討が行われた。
今回のコスト分析の対象は、2022〜2023年度に実施された「再生可能エネルギー導入加速化に向けた系統用蓄電池等導入支援事業」等の採択案件であり、2023年度の系統用蓄電システムのコスト(kWh単価・税等を除く)は6.2万円/kWhであった。
2022年度から2023年度にかけて、リチウム等の資源価格の高騰や為替変動等の影響により、蓄電システムコスト(特に電池部分)は上昇している。
蓄電システム関連事業者へのヒアリングによれば、補助金事業以外で海外製蓄電システムを採用する場合、コスト2〜4万円/kWhの案件もあるなど、電池部分を海外から調達する場合、国産製品と比べ、数万円/kWh程度安価に調達できることが報告されている。安全性に関しても、大手メーカーであれば導入実績も豊富であり、国内外で大差は無いとの意見もある。
なお、図2の蓄電システムコストと工事費以外に、受変電設備等の付帯設備・工事費および税等が上乗せされ、最終的な系統蓄電システムの建設費(CAPEX)となる。事業者ヒアリングによれば、受変電設備費には数億〜十億円前後を要するとのことである。
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