導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム、現状のコストと収益性の見通しは?第3回「定置用蓄電システム普及拡大検討会」(3/4 ページ)

» 2024年09月03日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

系統用蓄電システムの収益性構造

 なお今回の前提条件として、1日の中で「値差」が大きいということは、市場価格全体(上位6コマの価格や平均値)が高い、ということを意味する。よって、市場価格が高くなると、収入が増えると同時に、充電費用(変動費)も増加することになる。

 市場価格の高低の違いによる、系統用蓄電システムの収益性構造の違いを見たものが図5である。ここでは、建設費(CAPEX)は6万円/kWh、運転維持費(人件費、修繕費、諸費、一般管理費)は5,000円/kW/年、容量市場収入は9,555円/kW/年で条件を固定している。

 建設費(CAPEX)6万円/kWh前提の場合、ベースシナリオやダウンサイドシナリオでは、固定的な費用・収入の割合が高いことが分かる。

図5.系統用蓄電システムの収益性評価(建設費:6万円/kWhの場合) 出典:三菱総研

需給調整市場における収益想定の不確実性

 2024年4月に全商品の取引が開始された需給調整市場では、多くのエリア・商品で恒常的に応札不足・約定不足が生じており、約定価格の高騰も発生している。蓄電池は、⼀次調整力や複合商品では上限価格に近い水準での約定が多く、上限価格が設けられていない三次調整力②においても、桁違いの高価格で約定していることが報告されている。

 ただし、需給調整市場では5月以降、応札不足の解消に向けて、さまざまな制度見直しが進められており、今後の約定価格や約定率を見通すことが困難である。よって今回は、需給調整市場における蓄電池システムの収益の試算は行っていない。

表3.需給調整市場 商品・リソース別約定価格の動向(2024年4〜6月) 出典:制度検討作業部会

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