太陽光発電所のケーブル盗難対策 被害拡大を防ぐ最新ソリューションが集結 「スマートエネルギーWeek 春 2025」(1/3 ページ)

太陽光発電所の銅線ケーブル盗難問題が深刻化するなか、「スマートエネルギーWeek春2025」において、様々な盗難対策ソリューションが展示され注目を集めた。

» 2025年03月14日 07時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]

 太陽光発電所における銅線ケーブル盗難は、近年急速に増加しており、被害に遭う発電所の規模やエリアも拡がり続けている。発電所オーナーにとっては、ケーブル修復費用や交換費用だけでなく、復旧に至るまでの売電収入の損失も大きな痛手となる。また、盗難被害の拡大は、エネルギーの安定供給や再エネの普及に悪影響を及ぼす可能性があり、社会的影響も少なくない。

 「スマートエネルギーWeek 春 2025」(2025年2月19〜22日、東京ビッグサイト)では、こうした盗難被害の対策に役立つ各種ソリューションが披露された。その内容は大きく分けて次の3タイプがあった。まず、対象となる銅線ケーブルを物理的にガードして、盗めないようにする「物理的防護」。次に、遠隔監視システムや警報機器と組み合わせた「防犯システム」。もう一つは、高値で売れる銅線ケーブルを取引価格の安い「アルミケーブル」に置き換えて、窃盗対象そのものをなくしてしまおうという提案だ。

銅線ケーブルを金属で覆って物理的に防護

 アースコム(埼玉県越谷市)は、狙われやすいケーブルの引込柱を、金属製のカバーで完全に覆ってしまうことを提案する。これを実現する製品として、強固な特殊鋼板でつくられた高さ3mの円柱状カバー「サンキーパー」を展示した。物理的な防護力に優れているだけでなく、窃盗犯に「この発電所は狙えない」と強く印象づける“視覚的抑止効果”も大きいという。

強固な円柱で引込柱を覆う、アースコムのサンキーパー

 エンブルー(東京都千代田区)は、CTから集電箱までのケーブル露出部を鋼鈑でガードし、ケーブル埋設ホールをコンクリートで固めるダブル防護策「ソラシールドブロック」を披露した。地上のケーブルが鋼鈑で守られるだけでなく、地中に埋設したケーブルもコンクリートを破壊しない限り引き抜くことができなくなる。

ケーブル埋設ホールもコンクリートでガードする、エンブルーのソラシールドブロック

 ピー・エス・ディー(埼玉県さいたま市)は、物理防犯システム「雷神」シリーズを出展した。同シリーズは引込柱を防護する低圧向けの雷神Tower、配線立ち上がり部分をガードする雷神Gard、集電箱の扉を防護する雷神Bar、配線の掘り起こしを防護する雷神Plate、ケーブルを地中でロックして引き抜きを防ぐ雷神Lockの5種類を展開している。各製品が異なる角度から設備を守ることで、総合的な防犯性能の向上を提案した。

ピー・エス・ディーの雷神Tower(右)と雷神Gard(左)
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