ペロブスカイト太陽電池の最前線 製品化で先行する中国企業が大型モジュールを披露「スマートエネルギーWeek 春 2025」(1/2 ページ)

ペロブスカイト太陽電池の開発は、どこまで進んでいるのか。「スマートエネルギーWeek 春 2025」では製品化で先行する中国メーカー各社が大型モジュールを展示し、大きな存在感を示していた。

» 2025年03月17日 07時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]

 次世代型太陽電池の花形として、国際的な開発競争が激化しているペロブスカイト太陽電池。日本では2024年5月に、導入拡大と産業競争力強化に向けた官民協議会が設立され、11月には「次世代型太陽電池戦略」も取りまとめられた。

 同戦略では「官民連携し、世界をリードする規模とスピードで、量産技術の確立・生産体制整備・需要の創出を三位一体で進める」という強い姿勢が示されている。とはいえ、国内ではまだ実証段階にあり、モジュールのサイズ的な制約からも脱し切れていないのが現状だ。

 一方、中国では既にペロブスカイト太陽電池の社会実装が始まっており、大型モジュールの製品化も進んでいるという。「スマートエネルギーWeek 春 2025」(2025年2月19〜22日、東京ビッグサイト)においては、中国メーカー2社が、既設のシリコン系太陽電池モジュールのリプレースにも対応可能な、大型のペロブスカイト太陽電池モジュールを実機展示し、注目を集めた。

タンデム型ペロブスカイトの大規模生産ラインが稼働するGCL

 GCL(中国・江蘇省蘇州市)は、2000×1000mmという大サイズのタンデム型ペロブスカイト太陽電池モジュールを披露した。タンデム型とは、シリコン層とペロブスカイト層を重ね合わせた太陽電池であり、従来のシリコン系太陽電池を大きくしのぐ高い変換効率が期待できる。実際、GCL製モジュールの変換効率は、既に26.36%に達しているという。

 同社は現在、ギガワット規模のペロブスカイト生産拠点を中国・江蘇省昆山市に建設しており、2025年中の稼働を目指している。この生産ラインでは、世界最大級をうたう2400×1200mm、変換効率27%以上のタンデム型ペロブスカイト太陽電池モジュールを量産していく計画だ。

変換効率26.36%を実現したGCLのタンデム型ペロブスカイト大型モジュール

 同社では、「この革新的な製品により、GCLが世界のペロブスカイト技術分野でのトップポジションを強化するだけでなく、社会がCO2排出削減とカーボンニュートルという目標を達成し、新エネルギーシステムを構築するためにも貢献していきたい」と話す。

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