UtomoLight(中国・江蘇省無錫市)は、いち早く大面積ペロブスカイト太陽電池モジュールの製造技術を確立し、商業化に向けた量産ラインの構築を進めてきた。今回のスマートエネルギーWeekでは、2308×1223mmの大型モジュールを発表し、その先進性をアピールした。
同社は、建材一体型太陽光発電(BIPV)にも力を入れており、透光性の高い「ペロブスカイト発電カーテンウォール」も披露した。同製品は既存の窓ガラスと代替可能であり、発電機能を持つだけでなく、オーダーメイドで彩色の調整も可能であるという。
なお、UtomoLightのペロブスカイト太陽電池モジュールは、すでに中国各所で導入されており、信頼性にも定評があるとのこと。野立ての太陽光発電所はもちろん、工場の屋根、ビルの壁面、ソーラーカーポート、コンサートホールなど、設置場所は多岐にわたっている。
台湾からも、産業界・学術会の多様なメンバーから構成された、台湾ペロブスカイト研究産業協会が出展した。同協会は、ペロブスカイト関連の企業や研究機関の専門家によって設立された産業交流・協力プラットフォームであり、「ペロブスカイト技術の研究、開発、応用を促進し、世界的なエネルギー転換を推進すること」を使命とし、持続可能なカーボンニュートラル環境の実現を目指している。
ブースでは、ペロブスカイト発電カーテンウォールやペロブスカイト太陽電池窓などの建材一体型太陽光発電(BIPV)、光透過率やスペクトルの調整が可能なペロブスカイト太陽電池モジュールを使った営農型太陽光発電システムの提案などが行われた。
日本企業では、シャープがペロブスカイト太陽電池を想定したソーラーパネル付きの電気自動車(EV)を展示し、存在感を示した。搭載されるのは、黒を基調としたタンデム型ペロブスカイトで、車体の流線形に合わせてデザインされた3次元局面モジュールとなる。高い変換効率と、多様な光環境に対応するペロブスカイトの特性により、外部充電なしでも長距離走行が可能な太陽光発電EVを実現できるという。
ほかにもシャープは、設置スペースが限られた建物の屋根をはじめ、電子看板やモバイル機器など、ペロブスカイト太陽電池の新たな市場開拓と社会実装に向けた提案を行っていく。優れた変換効率はもちろん、日陰や室内でも発電できるなど、ペロブスカイト太陽電池ならではの特徴を生かして、幅広い可能性を追求していきたい考えだ。
いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
シャープがタンデム型ペロブスカイト太陽電池を披露 EVを活用した未来のエネマネ提案も
ペロブスカイト太陽電池の政府戦略 2040年20GW導入・発電コスト10円を目標にCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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