国内初のバージ型浮体式洋上風力 北九州で商用運転がスタート自然エネルギー

福岡県北九州市響灘沖で、国内初となるバージ型浮体を利用した洋上風力発電が商用運転を開始した。

» 2025年04月25日 11時00分 公開
[スマートジャパン]

 SMFL みらいパートナーズ、グローカル、合人社グループ、コトブキ技研工業、中国電力、リニューアブル・ジャパンは2025年4月22日、浮体式洋上風力発電所の所有ならびに安定的な運用を目的に新会社「ひびきフローティング ウィンドパワー合同会社(HFWP)」を設立したと発表した。同日にバージ型浮体を採用した「ひびき灘沖浮体式洋上風力発電所」(福岡県北九州市響灘)の商用運転も開始した。

ひびき灘沖浮体式洋上風力発電所 出典:HFWP

 同発電所は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究(バージ型)」において、水深50〜100mの海域での運用を想定した、低コストかつ日本の自然条件に適合した浮体式洋上風力発電システムの技術確立・検証を目的に2014年より開発を開始。2019年5月より現在の海域で実証運転を始め、検証を進めてきた。2024年3月末に実証研究が終了し、研究のメンバーであったグローカルがNEDOから設備一式を引き継ぎ、発電所の管理運営会社としてHFWPを設立した。

 ひびき灘沖浮体式洋上風力発電所に採用されているバージ型とは、比較的浅い水深でも導入が可能な小型の浮体式システム。日本近海で洋上風力発電が導入可能な着床式と浮体式を比較すると、浮体式は着床式の約5倍の導入可能面積があると言われている。しかし世界的に商用化が進んでいる浮体式の1つであるスパー型は100メートル程度の水深が必要であるため、より浅い水深に導入でき、着床式に対してコスト競争力のある浮体式の開発が課題となっていた。

 同発電所は出力3000kWの風車1基を搭載し、発電した電力は再生可能エネルギーの固定買取価格制度を利用し、九州電力に全量を売電する。なお、浮体式洋上風力発電所の商用化は国内で2基目、鋼製バージ型浮体の採用は国内初の事例になる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.