鉄道分野のグリーントランスフォーメーション(GX)に向けて、国土交通省が新たに「鉄道分野のGXに関する官民研究会」を設立。2040年をめどにした具体的な目標や戦略の検討を開始した。
鉄道は、他の交通機関と比較して環境負荷の低い輸送手段であり、輸送量当たりのCO2排出量は、旅客では自家用乗用車の1/8、貨物では営業用貨物車の1/13である。鉄道分野全体のCO2排出量は993万t(2019年度)であり、国全体の排出量の0.9%を占めている。
「第7次エネルギー基本計画」では、鉄道分野において燃料電池鉄道車両の社会実装やバイオディーゼル燃料の導入に向けた取り組みを推進することが記されたほか、「GX2040ビジョン」では、鉄道分野の脱炭素化と競争力強化を進めるため、高効率化や次世代燃料を利用した車両・設備の導入に向けた支援制度の検討、モーダルシフトによる鉄道利用促進に係る取り組み、駅舎などの鉄道アセットを活用した再エネ導入の拡大など、鉄道ネットワーク全体の脱炭素化を推進することが記された。
国土交通省では、2040年を見据えた鉄道分野のGXに関する目標設定や戦略を策定するため、新たに「鉄道分野のGXに関する官民研究会」を設置し、検討を開始した。
国土交通省では、「鉄道分野のカーボンニュートラルが目指すべき姿」取りまとめ(2023年5月)において、「1.鉄道事業そのものの脱炭素化」「2.駅舎等への太陽光発電設置などの鉄道アセットを活用した脱炭素化」「3.鉄道へのモーダルシフトを通じた脱炭素化」という「3つの柱」に沿った取り組みを一体的に推進することを掲げている。
同取りまとめでは、2030年代において、2013年度の鉄道分野CO2排出量1,177万tの46%に相当する約540万tの削減(※鉄道利用の増加による国全体での削減分も含む)を、中間的なマイルストーンとして設定している。
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