2021年度時点、国内鉄道ネットワークの64%が電化されており、「電車」の走行に伴うCO2排出量は704 万t(2019年度)と、鉄道事業全体の71%を占めている。
電車の省エネ化については、車両の軽量化や照明のLED化のほか、SiCパワー半導体によるVVVFインバータ制御による大きな省エネが進められている。
また、列車の減速時にモーターを発電機として作動させること(回生ブレーキ)により発生する電力(回生電力)を架線に戻し、これを前後付近の他列車の加速に活用することも広く行われている。これにより、従来の電車ではブレーキ時に熱となり捨てていたエネルギーを有効活用することができ、省エネや電力のピークカットの効果が得られる。
今後、鉄道GX官民研究会では、高効率車両の導入や回生電力の活用に関する定量的な目標や指標の設定について検討を行う予定としている。
また、改正省エネ法では、保有車両数300両以上の特定輸送事業者(貨物1社、旅客26社)に対して、非化石エネルギーへの転換に関する中長期計画の作成及び定期報告の提出を義務化している。鉄道(電動車)の定量的目標の目安は、2030年度の使用電力量の非化石電気比率を「59%」としている。
すでに一部の鉄道事業者は、小売電気事業者から再エネ電力メニューを購入することや、オフサイトPPAを契約することにより、非化石化への対応を進めている。
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