現在、「日本住宅性能表示基準」(新築住宅)では10分野・33件の性能表示事項を定めており、2022年10月から「5 温熱環境・エネルギー消費量に関すること」の「5-1 断熱等性能等級」と「5-2 一次エネルギー消費量等級」の両方の評価取得が必須となっている。
この「5-1 断熱等性能等級」とは、建物の外皮の断熱性能について、「外壁、窓等を通しての熱の損失の防止を図るための断熱化等による対策の程度」を等級で表示したものである。
以前は「等級5(ZEH水準)」が最上位等級であったが、戸建住宅では2022年10月に、省エネ基準比エネルギー消費量▲30%の「等級6」と▲40%の「等級7」の2つの上位等級が新たに創設された。
「日本住宅性能表示基準」の「5-2 一次エネルギー消費量等級」とは、暖冷房や換気、給湯、照明などの設備の省エネ性能などを総合的に勘案して、「一次エネルギー消費量の削減のための対策の程度」を等級で表示したものである。
本制度では、一次エネルギー削減性能の目安を、設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で割った値である「BEI」(Building Energy Index)という指標で表している。現在は平成28年省エネ基準に相当するBEI≦1.0を「等級4」として、BEI≦0.80(省エネ基準▲20%)の「等級6」(ZEH基準)を最上位等級としている。なお、2022年に新設された等級6は、建築物省エネ法等の基準と揃えて設定しているため、太陽光発電設備等によるエネルギー消費量の削減量を見込まない評価基準(BEI)としている。
現在(2023年度)、住宅性能評価を受けた新築戸建住宅のうち、最上位等級の「等級6」を取得した割合は85.7%となっており、もはや等級6は「ありふれた」性能となっていることがうかがえる。現在はこれ以上の等級が無いため、事業者が一次エネルギー消費量削減率に優れた住宅を提供しても、これを適切に評価できない状態が生じている。
第7次エネルギー基本計画では、ZEH基準の水準を大きく上回る省エネ性能等を有する住宅などの導入に対する支援を行うとしていることから、国土交通省では、住宅性能表示制度の一次エネルギー消費量等級において、新たな上位等級を創設することとした。
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