家庭部門のさらなる脱炭素化に向け、住宅の省エネ性能表示における基準の見直しの検討がスタート。国土交通省では住宅の一次エネルギー消費量等級に、新たにより上位の7・8等級を追加する方針だ。
家庭部門における脱炭素化を進めるためには、住宅の省エネ性能の向上が必要である。第7次エネルギー基本計画では、2050年にストック平均でZEH(Net Zero Energy House)水準の省エネ性能の確保を掲げており、2030年度以降に新築される住宅は同水準の省エネ性能の確保を目指すとしている。また今後はさらなるゼロ・エネルギー化を進める観点から、ZEHの省エネ性能の大幅な引上げも実施することが記された。
新築戸建住宅におけるZEH化率は年々上昇しており、2023年度は27.6%(注文戸建住宅:40.2%、建売戸建住宅:7.1%、ハウスメーカー:73.2%、一般工務店:14.1%)となっている。
ただし、住宅のストックベースで見ると、総数約5,400万戸のうち、ZEH水準もしくはZEH以上の住宅はまだ約5%に留まっている。
また第7次エネルギー基本計画では、より高い省エネ水準の住宅の供給を促す枠組みを創設するとともに、「住宅性能表示制度」における基準を充実させると記している。これを受けて、国土交通省の建築分科会では、住宅性能表示制度の見直しを行い、省エネ対策に係る新たな上位等級を創設することとした。
「住宅性能表示制度」とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく制度であり、一般の消費者等に対して住宅の様々な性能を分かりやすく表示し、良質な住宅を安心して取得できる市場を形成することを目的としている。
国土交通大臣は、住宅の性能を表示するための共通ルールである「日本住宅性能表示基準」や住宅の性能評価方法として「評価方法基準」を定めており、これにより、消費者は住宅の性能の比較が可能となっている。
第三者機関による住宅性能評価を受けた住宅は、金融機関による住宅ローンの金利引き下げや、耐震等級に応じた地震保険料の割引等のメリットが得られる。
新築住宅による本制度の利用率は2023年度で32.8%であり、2000年10月の制度開始以来の累計では、約466万戸が本制度を利用している。
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