系統用蓄電池の接続検討が急増 受付量は1.1億kW超で「空押さえ」が課題に第3回「次世代電力系統WG」(2/4 ページ)

» 2025年07月03日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

補助金やオークションによる蓄電池の導入状況

 系統用蓄電池の導入に対しては、補助金や長期脱炭素電源オークションによる政策的支援が措置されている。長期脱炭素電源オークションでは、2023年度に30件・約109万kW、2024年度に27件・約137万kWの蓄電池が落札している。

 次世代電力系統WG事務局では、2022年2月〜2023年10月の期間に接続検討申込みを行った約1,100件の系統用蓄電池を対象として、補助金や長期脱炭素電源オークションの利用について、一定の仮定の下で紐付けを行った。

 補助金(5月公募)の申請を行うには、事前に接続検討を申請し回答書を得る必要があるが、接続検討の回答期限は申請受付から3カ月以内であるため、1月に接続検討のピークを迎えている(図4)。また、オークションは2024年1月が回答書の提出期限であったため、10月に向けて接続検討申込み件数が増加している。

 なお、図4・5では、補助金とオークションのいずれにも該当し得る場合は「補助金・オークション」、補助金又はオークションのいずれにも該当しない場合は「その他」として集計している。

図4.系統用蓄電池の接続検討件数の推移 出典:次世代電力系統WG

 容量別に見ると、長期脱炭素電源オークション(2023年度)における蓄電池の最低応札容量は1万kWであったため、1万kW以上の件数が最多となっているが、どの容量帯でも「その他」(補助金・オークションに非該当)の案件が多いことが分かる。

図5.系統用蓄電池の容量別の接続検討件数 出典:次世代電力系統WG

 なお、長期脱炭素電源オークションでは電源の期待容量(供給力)を適切に評価するため、年度ごとにあらかじめ「調整係数」が公表されている。揚水発電と蓄電池は同じ調整係数テーブル(エリア別・月別・運転継続時間別の係数)を用いており、運転継続時間が短いほど調整係数が小さく、期待容量を割り引く仕組みとしている。

表1.揚水・蓄電池 長期脱炭素電源オークション用調整係数(応札年度2023年度) 出典:広域機関資料を基に筆者作成

 図6のWG事務局資料(2022年2月〜2023年10月時点)では、接続検討の総数は東京エリアが最多であるが、その内訳として長期脱炭素電源オークション案件は少なめであった理由の一つは、調整係数の低さであると推測される(結果として、東京エリアの蓄電池落札件数はゼロ)。

 また、広域機関2024年度取りまとめでは、蓄電池の接続検討件数は東京(2,894件)、東北(1,831件)、九州(1,503件)の順に多いことが報告されており、順位の入れ替わりが大きいことが伺える。

図6.系統用蓄電池 エリア別の接続検討件数 出典:次世代電力系統WG

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