富士経済は、次世代型太陽電池として今後の普及が期待されているペロブスカイト太陽電池の世界市場に関する調査レポートを公表した。
富士経済は2025年7月、次世代型太陽電池として今後の普及が期待されているペロブスカイト太陽電池の世界市場に関する調査レポートを公表した。それによると、ペロブスカイト太陽電池の世界市場は2040年に3兆9480億円規模に拡大するとしている。
今回の調査では、ペロブスカイトの単接合型と、ペロブスカイトと結晶シリコンのタンデム型(多接合型)を対象とした。単接合型はすでに商用化されており、搭載面積の小さい電子棚札や組み込み電源での採用を中心に市場が広がりつつあり、2024年の市場は前年比61.3%増の500億円となった。一方、タンデム型は試験的生産やサンプル出荷に留まっており2024年の市場は前年比80.0%増の90億円となった。
本格的な量産開始は単接合型が先行し、2020年代後半からタンデム型の量産も進む見通し。既存太陽電池からの代替が進み、2020年代後半から市場は急拡大すると予想している。また、さらなる変換効率の向上が可能なタンデム型の開発が進み、2030年前後から発電事業用途などでの導入増が期待され、市場拡大を後押しするとした。
なお、単接合型は2040年には5割以上が建物据付型太陽電池(BAPV)用途になると予想している。一方のタンデム型はタンデム型は、現状は試験的な生産や実証的な設置、サンプル出荷が中心で、そのほとんどがBAPV用途。現在、タンデム型を前提とした大手メーカーが参入しており、中国の結晶シリコン太陽電池の大手メーカーの量産計画もあるため、今後長期的な市場拡大が予想され、2040年にはペロブスカイト太陽電池の約6割をタンデム型が占める見通しとした。
単接合型とタンデム型を合わせたペロブスカイト太陽電池の世界市場は、2040年に2024年比で66.9倍の3兆9480億円と予測した。なお、日本市場については2025年度が0.8億円規模となる見通しで、2040年度には342億円まで拡大する見通しとしている。
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