カルコパイライト太陽電池で稼働する自動販売機 サントリーとPXPが実証：太陽光

サントリーとPXPは、軽量で曲げられるカルコパイライト太陽電池を自動販売機に設置する実証実験を開始する。

[スマートジャパン]

カルコパイライト太陽電池を設置した自動販売機　出典：サントリー

　サントリーホールディングスと太陽電池ベンチャーのPXPは2025年7月24日、カルコパイライト（CIS化合物型）太陽電池で稼働する自動販売機の実証実験を開始すると発表した。7月から1年間、相模原麻溝公園にサントリーの自動販売機を設置し、自動販売機におけるカルコパイライト太陽電池の実用性や電力供給能力を検証する。

　カルコパイライト太陽電池は、軽量で曲げることが可能、かつ屋外耐久性や耐衝撃性に優れているという特性があり、次世代型太陽電池として注目されている。

　一般的な太陽光パネルを導入する場合、結晶シリコン層やそれをおおう強化ガラスなどの部材重量があり、自動販売機に設置するには架台や屋根などの付帯設備が必要だった。一方、今回の実証ではカルコパイライト太陽電池の特性を生かし、追加設備なく自動販売機本体に直接太陽光パネルを設置している。

　さらに太陽光パネルの設置箇所も自動販売機の両側面、背面、上面と4面が可能なため、一般的な太陽光パネルを搭載した自動販売機に比べ、発電量も大きくなる見込みだという。太陽電池はPXPが開発したカルコパイライト太陽電池をモジュール化したパネルを使用した。なお、カルコパイライト太陽電池を使用した太陽光パネルの自動販売機への活用は、世界初の試みになるとしている。

自動販売機の背面に設置したカルコパイライト太陽電池　出典：サントリー

　実証実験では、カルコパイライト太陽電池の実用化に向け、自動販売機稼働における実用性や電力供給能力を検証する予定。将来的には、これまで自動販売機が設置できなかった電源のない場所への設置や、災害時の電源としての利用などを目指す。また、今回の実証の結果を踏まえ、工場や建物など自動販売機以外での活用先拡大も検討する方針だ。