芝浦工業大学とケー・エフ・シー(東京都港区)は、微生物を用いて廃棄するCIGS系太陽電池からからセレンを含むレアメタルを回収する手法の開発に成功したと発表した。
芝浦工業大学とケー・エフ・シー(東京都港区)は2025年10月、微生物を用いて廃棄するCIGS系太陽電池からからセレンを含むレアメタルを回収する手法の開発に成功したと発表した。
セレンはレアメタルの一種で、半導体材料や太陽電池などに広く利用されている。しかしセレン酸や亜セレン酸には毒性があるため、排水基準や土壌汚染に関わる環境基準値が定められている。将来的に廃棄される太陽電池が急増するとみられるなか、セレンの回収・再資源化は大きな課題だ。
今回、芝浦工業大学とケー・エフ・シーは化合物系太陽電池のうち、セレンを含むCIGS(Cu、In、Ga、Se)系の廃太陽光パネルから銅、インジウム、ガリウム、セレンを溶解させ、中和後にセレン産還元微生物「Stutzerimonas stutzeri NT-I」と反応させた。この微生物はセレン酸を亜セレン酸、亜セレン酸を元素態セレンに還元し不溶化するという特徴を持つ。
この手法で回収した微生物と元素態セレンが組み合わさったバイオセレンに対し、簡易精製と乾燥、化学還元を行うことで、純度99.99%のセレンに精製できたという。
今後はラボスケールからベンチスケール、最終的にはプラントレベルにスケールアップを行い、循環型社会形成への貢献を目指すとしている。
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