東北電力とアイテスが太陽光パネルの不具合を見つけるPL検査を、日中屋外で実施可能なシステムを開発。企業や団体向けに販売を開始した。
東北電力とアイテスとは2025年10月24日、太陽光パネルの不具合を日中屋外で発電中に検出可能なシステム「PVScope(ピーブイスコープ)」を共同開発し、企業や団体向けに販売を開始すると発表した。販売価格は税込1600万円。
太陽光パネルの不具合検出によく用いられる手法の一つにPL(フォトルミネッセンス)検査がある。この手法はソーラーパネルに光を照射し、内部から発せられる微弱な発光を撮影・解析することで、シリコンウエハの結晶欠陥や劣化などの不具合を検出するもので、一般に太陽光の影響を受けない夜間や暗室で実施する必要があった。
東北電力とアイテスはこのPL検査の時間帯や場所の制約といった課題解決に向けて、日中時間帯の屋外で検査が可能なシステムの開発に取り組んだ。具体的には、赤外線を撮影できる特殊なセンサー(InGaAs撮影素子の冷却型)と、検査に必要な波長だけを通すフィルターを搭載した専用カメラを利用し、日中時間帯の屋外で太陽光パネルを撮影する。次に撮影した写真をその場で専用ソフトウェアで解析することで、不具合の発見が可能になるとしている。
両者はこれまで同システムの有効性について、東北電力の八戸太陽光発電所において実証試験に取り組んでおり、良好な結果が得られたため今回の販売に至ったという。ドローンを活用して広範囲を検査することも可能で、太陽光発電所の稼働を止めず、現場で即時に不具合点検ができるシステムとして、企業や団体向けに広く提案を進める方針だ。なお、製品の製造と販売はアイテスが行い、2030年までに50件の導入を目指すとしている。
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