NEDO、日本気象協会、産業技術総合研究所は日射量予測が大幅に外れる“大外し”を低減する予測技術を開発したと発表した。太陽光発電の高精度な発電量予測に役立ち、調整力の調達コスト低減にも貢献できる技術としている。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)、日本気象協会、産業技術総合研究所は2025年10月30日、日射量予測が大幅に外れる“大外し”を低減する予測技術を開発したと発表した。従来手法と比べて予測が大きく外れるケースを23%低減できるという。
天候によって発電量が左右される再生可能エネルギー電源の出力変動対策に向けては、出力を吸収できる調整力の確保が重要になる。こうした調整力の調達コストは2025年度見込みで300億円程度とされており、さらなるコストの低減が求められている。
適切な調整力の確保には、発電量の正確な予測が求められる。中でも最も普及する再エネ電源である太陽光発電を高精度に予測するためには、日射量予測の高精度化が欠かせない。日射量予測が大きく外れる、いわゆる“大外し”が発生すると、バランシンググループや一般送配電事業者などで生じるインバランス量が増大し、それに対応する調整力の確保量も増大する。こうした背景から、3者では翌日および翌々日程度先を対象とした高精度な日射量予測技術の開発に取り組んだ。
新たな予測の技術開発においては、、日本気象協会が「日射量予測に特化した気象モデル」「複数機関の気象モデル予測値の統合」「アンサンブル予報に基づく信頼度予測」の3つの開発を担当。産総研は気象庁予報データを活用し、“大外し”事例の要因分析などを実施した。
これらの技術や知見を組み合わせた結果、予測手法の高度化と誤差の大小を事前に分類する手法の高度化により、信頼度が低いと予測した日を含むすべての日の“大外し”は従来手法と比べて13%低減、信頼度が高いと予測した日の“大外し”は23%低減できることが確認できたという。この結果は、従来手法では正確な予測が困難であった事例についてもより高い精度の日射量予測情報が利用可能となるとしている。
開発した予測技術は2026年秋頃をめどに日本気象協会が電力会社などに提供している日射量予測サービスに実装する計画。小売電気事業者や一般送配電事業者などに、発電量の高精度な予測ニーズを持つ企業に幅広く提供する方針だ。
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