大規模太陽光発電の林地開発許可基準 「残置森林率60%」に引き上げへ「太陽光発電に係る林地開発許可基準に関する検討会」(3/4 ページ)

» 2026年04月06日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

太陽光発電に係る林地開発の推移

 太陽光発電設備の設置に係る林地開発許可の件数及び面積は、平成24年のFIT制度開始以降急増し、令和6年度までに累計で1,991件・17,211haの太陽光発電設備の設置に係る林地開発が許可された。近年は件数・面積のいずれも大きく減少しており、令和6年度の許可は32件・153haと、面積比で令和元年の4.8%まで減少している。

図5.太陽光発電に係る林地開発許可の推移 出典:太陽光発電林地開発許可基準検討会

 太陽光発電以外の開発目的も含めた全体の林地開発許可処分及び許可制の適用されない開発行為(国等が実施する連絡調整に係るものを含む)の推移を見ると、昭和50年代には「農用地の造成」、昭和60年代には「ゴルフ場・スキー場」の開発が多数あったことが分かる。開発行為全体が減少傾向にある中で、平成24年以降に太陽光発電目的の林地開発が急速に増加したが、減少も速かったことが見て取れる。

図6.林地開発許可処分及び許可制の適用されない開発行為の推移 出典:太陽光発電林地開発許可基準検討会

大規模太陽光発電の開発許可における「森林率」を見直しへ

 都道府県知事が林地開発を許可する際の要件の一つである「環境の保全」の観点から、森林法では、開発行為をしようとする森林区域に相当面積の森林の残置又は造成(植栽等)を適切に行うこと、その開発目的ごとの森林の割合及び森林の配置等について具体的な基準を定めている。

 例えば、別荘地やスキー場では森林率60%以上(全て残置森林)、ゴルフ場では森林率50%以上(残置森林40%以上)を求めている(※森林の「率」「面積」「幅」はすべて“おおむね”の値であり、以下も同様)。

 なお、残置森林の技術基準は、客観的科学的な検討を通してその適否が判断できるという性質のものではなく、その時々の社会的な通念にしたがって公共の福祉と私権の保護とをバランスさせるという性格のもの、と整理されている。

 現在、太陽光発電については、「工場、事業場の設置」の基準を適用し、森林率は25%以上とすること、開発行為に係る森林の面積が20ha以上の場合は原則として周辺部に幅30m以上の残置森林又は造成森林を配置すること、及び開発行為に係る1箇所当たりの面積は20ha以下とし、複数造成する場合は、間に幅30m以上の残置森林又は造成森林を配置すること、としている(後述の図8を参照)。

 また、令和元年見直し(図3)により、残置森林率は15%以上とすることや、原則として周辺部に残置森林を配置すること、稜線の一体性を維持するため尾根部については原則として残置森林を配置すること、が許可基準に追加された。

 このように、開発目的「工場、事業場の設置」の基準を適用した「太陽光発電設備」であるが、近年の林地開発許可面積について両者を比較したものが図7である。

図7.林地開発許可の実態比較(R1〜R6) 出典:太陽光発電林地開発許可基準検討会

 「工場・事業場」は主な面積規模が10ha以下であり、50ha以上の開発は無いのに対して、「太陽光発電設備」は50ha以上が16件・1,277ha(面積割合23%)であり、太陽光発電では従来想定されていなかった大面積の開発が多いことが明らかとなった。

 斜面でも大規模化が容易な太陽光発電の特徴や林地開発の現状を踏まえ、太陽光発電の許可基準として、開発行為に係る「森林面積が40ha以上」の場合の区分を新設することとした。これに該当する大規模太陽光発電では、残置森林率はスキー場等と同様の「60%以上(すべて残置森林)」とすることが求められる。開発森林面積が40ha未満の場合の基準は、これまでどおりである(図8の左を適用)。

図8.太陽光発電に係る残置森林率(40ha未満/以上) 出典:太陽光発電林地開発許可基準検討会

 残置森林等は、森林の公益的機能の発揮のために確保されるべき森林であり、これまでも、事業者が権原を有していることを原則とし、地方公共団体との間で残置森林等の維持管理に関する協定が締結されていることが望ましいとされている。

 残置森林等を確実に将来にわたり保全又は形成するため、知事は、将来にわたり保全又は形成に努めることを許可条件に付すとともに、更なる林地開発は原則許可しないことが適切としている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

特別協賛PR
スポンサーからのお知らせPR
Pickup ContentsPR
あなたにおすすめの記事PR