2024年度現在、国内では約3,503万トンの鉄スクラップが発生しており、電炉は1,948万トンの市中スクラップを購入していると推計されている。
市中スクラップには、工場等から発生する加工スクラップと、それ以外の老廃スクラップがあり、加工スクラップは一般的に不純物が少なく高品位スクラップであるものが多いのに対して、老廃スクラップは分別の有無の違い等により品位はさまざまである。
現在、国内で発生する676万トンの加工スクラップのうち、137万トンが海外に輸出されているが、今後の高品位な鉄スクラップの確保に向けて、まずは加工スクラップの国内での最大活用を行うこととした。
また、国の「循環経済行動計画」(2026年4月策定)における「メタルリサイクル推進戦略」では、「2030年時点で、鉄スクラップを高品位化する処理能力約200万トン/年を目安とし、追加的に国内で確保する」との目標が明記された。
この実現に向けては、不適正スクラップヤードや不適正輸出への対策も重要であり、廃棄物処理法の改正案(2026年4月閣議決定)では、金属等の再生・保管を行うスクラップヤード事業に関し、許可制を導入することとした。
なお現在、鉄スクラップの検収規格は、形状(厚さ、長さ、シュレッダーの有無)や、母材(使用済み自動車、飲料缶)に着目した規格となっているが、今後は銅などの特定の物質を投入スクラップから可能な限り除去するなど、スクラップの成分管理に向けた取り組みが必要となる。
「サーキュラーエコノミーに関する産官学のパートナーシップ」(略称:CPs)の鉄鋼WGでは、高品位鉄スクラップの創生・循環・利活用拡大等のためのロードマップを2025年9月に策定し、「1.国内回収量増加」「2.シュレッダー等による高品位化・成分値保証化」「3.解体によるアプローチ」の3つの方策を定めている。
グリーン鉄の初期需要創出に際しては、国や自治体等による公共調達の推進が重要であり、GX分野別投資戦略では、グリーン購入法の活用や公共工事におけるグリーン鉄の採用などが示されている。
これまでグリーン購入法では、「原材料に鉄鋼が使用された物品」の判断基準として、「1.削減実績量が付されていること」「2.原材料調達から廃棄・リサイクルに至るライフサイクルCO2の定量的環境情報が開示されていること」を満たす鉄鋼を「基準値1」に位置付けてきた。加えて新たな基本方針では、配慮事項として「GHG削減に係る追加費用が一定以上の非化石電力を活用した鋼材が使用されていること」が追記された。
また土木分野については、「国土交通省土木工事の脱炭素アクションプラン」の改定等を通じてグリーン鉄の本格活用に向けた検討方針を明確化するとともに、2026年度以降、公共工事におけるグリーン鉄の試行工事を実施し、2030年度以降、公共工事におけるグリーン鉄の本格活用を実現することとした。
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