発電コスト検証WG(2025年)において、着床式洋上風力の発電コストは、以下のように試算されている。
また日本風力発電協会は、第111回「調達価格等算定委員会」(2026年1月)において、事業者アンケートに基づき、図5で示した前提条件の場合、
と報告している(※この発電コストは、図4の「政策経費なし」に相当)。なお、このアンケートは2025年に行われたものであり、米国イラン攻撃後の情勢変化を反映していないことに留意が必要である。
他方、発電コスト検証WGでは、他の多くの再エネ電源や火力等の発電コスト(2023年新設・政策経費/CO2対策費用あり)は10円台/kWhと試算されており、足元のJEPX(日本卸電力取引所)のスポット市場価格は10〜15円/kWh程度である。
洋上風力の導入拡大にあたっては、産業基盤構築の観点だけでなく、国民負担の抑制という観点も重要であり、発電事業としての条件に優れ、コスト効率的に事業を実施できる海域から優先的に案件形成を進めることが望ましい。
洋上風力促進WGではこれらを総合的に勘案し、「30円/kWh程度」までを優先的に案件形成を進めていく目安とすることとした。まずは着実に案件形成を進め、産業基盤の確立によるコスト低減を進めるとともに、コストの状況を継続的にモニタリングし、案件形成の目安や案件形成の進め方について、必要に応じて見直しを行う予定としている。
海洋再エネ整備法(再エネ海域利用法から名称変更)に基づく公募において、応札者(公募参加者)は見積により公募占用計画に記載する供給価格(応札価格)を決定するが、見積時点(公募参加時点)では、洋上風力発電設備の調達・施工に要する費用はまだ確定していない。一般的には、運転開始の2〜3年程度前に洋上工事を開始するが、その前に主な設備等の調達・施工に必要な契約を締結し、その時点で調達・施工に要する費用が概ね確定することとなる。
このため洋上風力促進WGでは、大規模な洋上風力発電に係る電源投資の確実な完遂という観点から、収入・費用の変動リスクへの対応として「価格調整スキーム」を次回の公募から導入することが決定済みである。
着床式洋上風力発電の資本費は表2のような構成であり、資本費(CAPEX)と運転維持費の比率は7:3であるため、資本費部分に相当するFIP基準価格の7/10に物価変動率を連動させる仕組みである。
ただし、際限なく価格を調整するのではなく、過大な国民負担の抑制という観点から、物価変動率には上限「40%」を設定している。さらに、調整後の価格を絶対値として適正な水準に抑えるため、調達価格等算定委員会にて審議のうえ、価格調整率を40%未満とする場合もある。
なお、第1〜3ラウンドの公募における供給価格上限額の最高値は29円/kWhであり、仮に第1〜3ラウンドの公募選定案件の資本費部分に40%の価格調整を適用するとしても当時の供給価格上限額には達しない。(表3の右2列)
ただし先述のとおり、当面の考え方として、優先的に案件形成を進めていく目安は「30円/kWh程度まで」とされたため、仮に供給価格上限額を30円/kWhと設定し、40%の価格調整を適用すると、過去の供給上限価格の最高値29円/kWhを超えることになる。
調達価格等算定委員会では、洋上風力に係る投資の完遂と国民負担の抑制という制度趣旨を踏まえ、価格調整スキームの在り方について、今後も検討を継続する予定としている。
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