原油を精製して得られる石油製品であるナフサやガソリン等は、いわゆる連産品であるため、特定の製品のみ大幅に得率を上げることは困難であり、精製事業者は石油製品全体の需給バランスや市場動向を踏まえた生産を行っている。
また、そのナフサを分解して得られるエチレン等の基礎化学品の比率は通常一定であるため、中間製品や最終製品の需給バランスを踏まえた生産が行われており、これらの多種多様な化学製品は、自動車や電気電子産業などの日本の産業競争力の源泉となっている。
現在、国内のナフサ分解炉によるエチレン生産能力は600万トン程度であり、国内需要を大きく上回るため、国内生産量の3割程度は輸出に向けられている。内需及び輸出の鈍化のため、エチレン生産設備の稼働率は低下が続いており、足元では過去最低の7割程度となっている。このため、現在稼働中の12基のナフサ分解炉のうち4基を他の分解炉に集約していく方向が示されている。
化学産業では、ナフサ以降のサプライチェーンが広範かつ多層にわたるため、各工程・製品段階で海外製品との競争に直面している。近年、国内の化学品生産量は減少傾向にある一方、輸入量は横這いであるため、内需に占める輸入品の存在感が相対的に上昇している。今般の中東情勢緊迫化を受け、中間製品(図3のポリエチレン等)の輸入が急増したが、今後も輸入拡大が継続する可能性が指摘されている。
ナフサは別名「粗製ガソリン」とも呼ばれる揮発性の高い液体であるため、年単位の長期備蓄が難しいといった特性がある。
また、ナフサは燃えやすく、消防法第二条に規定する危険物に該当するため、ナフサを貯蔵するための「屋外タンク貯蔵所」は、危険物の規制に関する政令で定める基準を満たす必要がある。このため、大量のナフサを長期間、安価に備蓄することは困難と考えられる。
よって現時点、ナフサそのものを備蓄する制度は無く、現行の石油備蓄法施行規則では、石油基準備蓄量や石油消費量の算定において、石油化学製品用ナフサは控除されている。
ナフサは主に炭素数5から12(C5〜C12)の炭化水素の混合物であり、その沸点や密度の違いにより、軽質ナフサと重質ナフサに大別されるほか、生産国や精製業者の違いにより性状が異なるため、得られる基礎化学品の比率(収率)が異なる。このため、石油化学メーカーは、ポリエチレンなどの中間製品の需要割合に見合うよう、複数の産地のナフサを混合し、ナフサ分解装置に投入している。
また、産地によって硫黄分等の不純物の割合が異なり、設備面での対応が必要なものもある。
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