今般の中東情勢の変化が生じる2026年2月まで、日本が輸入する原油の約93%がホルムズ海峡を経由しており、ホルムズ経路によるナフサの調達率は5割を占めていた。
日本はこれまで、備蓄制度を石油の安定供給の備えとしており、今般の中東情勢への対応においても、備蓄原油が有効に機能したことが確認されている。
しかしながら、今後、地政学リスクの高い状況が常態化する可能性があることを踏まえると、供給構造の更なる強靭化に向けて、「備蓄」と「調達多角化」の両方に取り組むことの重要性が一層増している。なお、原油などの安定供給を確保するためには、産油国単位で捉えるだけでなく、ホルムズ海峡をはじめとする特定の「チョークポイント」への依存度を低減していくことが重要である。
世界情勢の変化時に、原油などの代替調達の確実性を向上させるには、平時から調達先の選択肢の拡大を進めることが有効と考えられる。ただし、原油調達コストの一部となる輸送費は、輸送距離・航行日数に比例して高くなるため、自然体では代替国・代替経路からの割高な原油調達は進まないと考えられる。
このため、石油等供給構造強靱化WGでは、特定のチョークポイントを経由しない原油・ナフサの輸入に係る安定的な輸送の確保に要する費用を支援する制度について、検討を開始した。
新たな制度では、調達先の多角化に取り組む原油・ナフサの輸入業者は、国に調達計画を提出し、経済産業大臣は経済性や多角化への寄与度などを総合的に評価し、同計画を認定する。
JOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)は認定事業者に対して、多角化交付金を交付する。この原資としては、原油・石油製品の全ての輸入業者から徴収する納付金を充てることとする。
この新たな制度により、平時から供給地域・経路の多角化を進め、危機時と平時のリスク・コストを平準化することが期待される。
また、一般的に原油などの調達コストは輸送費だけでなく、保険料を含めた到着ベース価格(CIF価格)で評価される。原油などの海上輸送には、船舶保険・貨物保険・第三者賠償保険(P&I保険)から構成される海上保険が不可欠である。
不安定化する今般の国際情勢により、保険会社のリスク判断などによって保険の提供に影響が生じる可能性が指摘されているが、今後も原油などの安定供給に必要な保険キャパシティが確保されるよう、資源エネルギー庁では、安定的な海上輸送の在り方を検討する予定としている。
また先述のとおり、異なる産地の原油・ナフサなどを処理するには既存設備の改修や新設が必要となる可能性もある。このような設備面での対応策についても別途検討を行う予定としている。
原油調達先の多角化も検討、中東情勢を踏まえ石油備蓄の在り方を見直しへ
SAF供給の義務量に指針 供給率は2030年度1%、2032年度以降は5%に
過大な営業行為が続くLPガス業界 規制の実効性強化に向けた判断基準を明確化へCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10
展示会/注目テーマ