1913年、懐中時計が主流だった時代に、国産初の腕時計として登場したセイコー「ローレル」。独特な艶を持つ乳白色のほうろう(琺瑯)文字盤は、100年経ったいまでも色あせない美しさを保っている。
「常に時代の一歩先を行く」というセイコーの精神は、今日まで受け継がれた。同社の腕時計100周年を記念して、初代ローレルを現代的にリデザインした限定ウオッチ(2モデル)を発売した。
両モデルとも飾りを省いたエレガントなケースデザインに、優美な曲線を描く時針と分針を組み合わせた。裏ぶたはシースルーバック仕様で、回転錘(自動巻きローター)やてんぷの動きが楽しめる。
SARW005(10万5000円)はパワーリザーブ表示を備えた実用的な多針モデル。6時位置のインダイヤルは、初代ローレルのスモールセコンドをイメージしたアナログ式カレンダーとした。SARX011(8万4000円)は、当時の技術では実現できなかった時針・分針・秒針の同軸駆動(中三針)ムーブメントを採用する。それぞれ限定500本だ。
職人の手によって1枚ずつ作られる「ほうろうダイヤル」は、深みのある色合いと艶を再現。鉄製素材に、不純物が極めて少ない粘土、純水、ガラスなどを原料とする釉薬(うわぐすり)を塗り、高温で焼成する。古くからある手法だが、製造が困難なため一部の特別な商品にのみ使われるものだ。
初代ローレルのアワーマーカー(時刻表示)は、コントラストが高く、くっきりとした黒で印刷されたアラビア数字。だが12時だけは赤。読みやすさを重視した心配りのなかに、実用一辺倒にならない遊び心も見て取れる。限定モデルではローマ数字となったが、その印刷には書体を際立たせるための工数をかけた特殊な技法を採用した。もちろん「XII」は赤いのだ。
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