コラム
» 2006年11月13日 09時30分 UPDATE

金融・経済コラム:新しい火災保険?! 炎上保険はいかが?

企業が口コミマーケティング活動として利用するブログでの「炎上」が増えているようです。そした企業の「炎上リスク」をカバーする保険というのを考えてみたのですが……

[保田隆明,ITmedia]

 炎上と言えば、以前は個別の個人ブログが炎上するケースから多く見られましたが、最近は企業からお金をもらって商品のPRをするブログが炎上したり、企業が商品をマーケティングしようとするmixiのコミュニティが炎上したりと、企業の口コミ戦略での炎上が目につくようになって来ました。それに対して、「やらせはダメだ!」という意見と、「ブログの使い方は自由でしょ、どうしてダメ?」という意見と両方あるようです。

 今回はその行為の良し悪しについては特に言及しませんが、インターネットは怖い、とネットの活用に及び腰だった企業も、ブログやソーシャルネットワーキングなど、CGMの広がりを目の当たりにして「ネットで口コミだ!」と躍起になっていた結果でしょう。企業側も、口コミ戦略に加担する個人ブロガー側も、「炎上」というキーワードは「現代用語の基礎知識2007」に掲載されるぐらいですので当然聞き知っていたでしょうが、他人事と思っていたのでしょう。

 ということで、企業にとっては炎上という言葉を「知る」ステージから、炎上の怖さを「実感する」ステージに移ってきているようです。しかし、引き続きネット上で口コミを巻き起こしたいと思っている企業、もしくは最近「Web2.0」という言葉を覚えた経営陣が「ネットで口コミを巻き起こせ!」と部下に難題を突きつけるような企業もたくさん存在するでしょう。

 そのような企業はどうすればいいのでしょうか? ネットでの口コミはあきらめるのか、それとも炎上覚悟でやるのか……。

 う〜ん……と悩んでいるそんなときに保険会社から、「御社の炎上リスクをカバーする新種の火災保険です。ぜひご加入を!」なんて連絡があったらどうするでしょうか?「おお〜! それはいい!」と加入する企業、もしくは「そこまでやるぐらいなら……」とネット口コミをあきらめる企業、それぞれだと思います。一番痛いのは、炎上保険に加入した企業一覧リストがネット上で回り、それらの企業が炎上に遭うという流れですが……。

 さて、保険業界にとっては常に新商品の発掘に躍起になっているので、炎上保険はうれしいお話でしょう。しかし、実際に事故が起こるリスク(可能性)を何らかの形で数値化することで、保険業界は保険料と支払保険金を決めますので、そのリスクを数値化できないことには商品化には至りません。その点、企業の口コミに加担したブログが炎上する例がまだ足りないでしょう。ということで、保険会社にしてみると、「もっと炎上例がたくさん出てきて、リスクの数値化に十分なデータが欲しい!」なんて状態だったり……?

 しかし、最近は多くの保険会社で保険金の未払い事件が相次いでいます。「新商品の炎上保険でも保険金未払いが発覚!」なんてニュースが流れて、保険会社も炎上、挙句には保険会社も自社に対して炎上保険をかけるなんてジョークみたいな流れができちゃったりして……。

 と、半分冗談で炎上保険ってあったらいいかも、ということを書いてきたわけですが、次のような事態になると、恐ろしいなと思います。それは、ニュータイプ工作員が登場した場合です。

 わざといい口コミを撒き散らそうとしたり、もしくはわざとネット上での悪評の火消しを行う人達を「工作員」と呼ぶようですが、企業がわざと競合他社を炎上させるような「ニュータイプ工作員」を雇ったりしたら……?

 通常の工作員は、ある企業A社からお金をもらってA社の商品をブログ上で褒めて、意図せず炎上しちゃうわけですが、ニュータイプ工作員は、同じようにA社商品をブログ上で褒めますが、お金はA社の競合企業であるB社からもらい、当初より炎上を目的として書きます。そして、見事そのブログが炎上すると、A社の評判は落ちますので、B社はニンマリ。そしてニュータイプ工作員には、炎上度合いに応じてB社から成功報酬が支払われる……。ニュータイプが登場すると、それまでの工作員は「オールドタイプ工作員」となり、炎上もしなくなる…。

 しかし、もしB社がニュータイプを雇っていたことがバレると、A社はB社を訴えるわけで。そうすると、弁護士の登場。ということで企業のネット口コミの結果は保険料と膨大な弁護士費用、なんてことになると笑うに笑えません。

 CGMが保険業界にも変革をもたらすならば、保険2.0なのですかね……?

関連キーワード

ブログ | 炎上 | 口コミ | マーケティング


保田隆明氏のプロフィール

リーマン・ブラザーズ証券、UBS証券にてM&Aアドバイザリー、資金調達案件を担当。2004年春にソーシャルネットワーキングサイト運営会社を起業。同事業譲渡後、ベンチャーキャピタル業に従事。2006年1月よりワクワク経済研究所LLP代表パートナー。現在は、テレビなど各種メディアで株式・経済・金融に関するコメンテーターとして活動。著書:『図解 株式市場とM&A』(翔泳社)、『恋する株式投資入門』(青春出版社)、『投資事業組合とは何か』(共著:ダイヤモンド社)、『投資銀行青春白書』(ダイヤモンド社)。『OL涼子の株式ダイアリー―恋もストップ高!』(共著:幻冬舎)ブログはhttp://wkwk.tv/chou/


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