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» 2006年12月25日 12時30分 UPDATE

金融・経済コラム:Web2.0時代に欲しい保険、資産運用サービス

ファイナンシャルプランナーから保険や投資のアドバイスを受けるよりも、自分と同じ価値観を持った人がどんな商品を購入しているかが分かる、ソーシャルサービスがあると面白いのではないでしょうか。

[保田隆明,ITmedia]

 アメリカでは一家に1人専属のFP(ファイナンシャルプランナー)がいるということで、日本でも最近にわかにFPに対する注目、需要が高まっているようです。保険やローンの見直しによる費用削減系、資産増加を目指した資産運用アドバイス系、そして節税対策の税金系など種類はさまざまですが、日本では近年急激に増加したFPのクオリティをどのように担保するのだろうと少し疑問です。偶然相談したFPがヤブ医者ならぬヤブFPだったなんてこともあるかもしれませんし、しかもFPの場合はまだまだ新しい分野ゆえに、ヤブFPがいたとしてもその情報が共有されるにはまだ時間がかかりそうです。

 であれば、1人のFPではなく2人、3人のFPに相談すればということになりますが、そんなに資金的に余裕がある人達も少ないでしょうし、FPによっていろんな違うことを言うので、結局相談側には混乱だけが残ったという状況になるのは想像にやさしいです。

 私たちは何かを購入するときには、誰か専門家に相談します。例えばテレビを購入する場合を考えてみると、家電売り場の店員にいろいろと聞きます。しかし、それはいろんなテレビの機能や性能についての情報を得るためであり、自分がいくらをテレビに使うべきかということは相談しません。いくらという予算はすでに買う側で決めています。

 しかし、保険の場合は、保険商品に関する情報を入手したいと同時に、そもそも自分はいったいいくらを保険に使うべきかをも相談したいでしょう。資産運用でも同様で、商品ごとのリスク&利回りを知りたいと同時に、一体どれぐらいの資産をリスク商品に投資して、いくらぐらいを預金などの安全商品に配分すべきかという指針も欲しいでしょう。

 このように、保険や投資商品は、他の買い物と異なり、買い手が商品情報さえ入手すればあとは自分で勝手に判断して購入できるわけではなく、そもそもどれぐらいの予算を見込むべきなのかというところからヘルプが必要なものです。そして、その予算や配分は、個々人の価値観によって大きく異なります。同じ年代の同じ世帯収入の家族でも、かたや手厚い死亡保険を求め、月々比較的高額の保険料を支払いたい家族と、死亡率なんて高くないのだからということで小額の死亡保険に入り、あとはひたすら貯金に回すような家族などさまざまでしょう。

 ということは、実は私たちが知りたいのは、自分と同じような価値観をもった人達がどんな保険商品、資産運用商品を購入しているかということになるのではないでしょうか?1人のFPが、自分と同じような価値観の人の相談をたくさん受けたとは想像しにくく、それよりはむしろ自分と同じような価値観の人達の加入する保険や資産運用商品の情報を集約したインターネットサイトでもあれば、そちらの方が重宝するのではないでしょうか?価値観、もしくはライフスタイルを打ち込むと、同じような価値観をもった人達が購入している保険商品、資産形成がポンと出てくる、そんなものが出てくると面白いと思います。

 ソーシャルネットワーキングから始まり、ソーシャルブックマーク、ソーシャルニュースと、ソーシャルサービスが旺盛になってきましたが、それらはほぼ全て価値観融合サービスです。この延長線上で考えると、私たちの保険や資産運用にヒントを与えてくれる金融資産に関する価値観共有サービスへのニーズはありそうですし、仕組みもそんなに大変ではないでしょう。

 そもそも保険とは加入者同士が相互に掛け合うものですから、すでにソーシャルなサービスです。しかし、間に介在する保険会社が保険加入者相互の顔を見えなくしているので、その相互性、ソーシャル性を逆に削いでしまっているような気がします。

 しかし、現状では、一般消費者が間違った保険商品、資産運用商品を購入している可能性も高く、上記のようなソーシャル金融サイトが登場しても、その間違った集合知を更に広めて、犠牲者を増やす結果となってしまうのではないかという指摘もあるかと思います。しかし、インターネットでは自浄作用が働きますので、放っておいても間違った集合知は徐々に修正されていくと思います。

 ネット銀行もネット証券会社ももっとWeb2.0的要素を組み入れることで面白い事業展開ができると思っていますが、このように保険や資産運用の場合はもっと即効性があるのではないかと思います。一方、保険や資産運用会社は商品内容をわざと複雑にすることで潤っているわけですから、このようなソーシャル金融サイトみたいなものが登場すると迷惑なだけなので、サービスの提供を既存会社に期待するのは難しいかもしれませんが……。

保田隆明氏のプロフィール

リーマン・ブラザーズ証券、UBS証券にてM&Aアドバイザリー、資金調達案件を担当。2004年春にソーシャルネットワーキングサイト運営会社を起業。同事業譲渡後、ベンチャーキャピタル業に従事。2006年1月よりワクワク経済研究所LLP代表パートナー。現在は、テレビなど各種メディアで株式・経済・金融に関するコメンテーターとして活動。著書:『図解 株式市場とM&A』(翔泳社)、『恋する株式投資入門』(青春出版社)、『投資事業組合とは何か』(共著:ダイヤモンド社)、『投資銀行青春白書』(ダイヤモンド社)、『OL涼子の株式ダイアリー―恋もストップ高!』(共著:幻冬舎)、『口コミ2.0〜正直マーケティングのすすめ〜』(共著:明日香出版社)。ブログはhttp://wkwk.tv/chou/


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