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» 2007年08月14日 14時42分 UPDATE

「Vista Capable」は不当表示?

「Vista Capable」というステッカーが付いたPCを見れば、誰だってVistaを実行できると思うだろう。だが実際は……。

[Steven J. Vaughan-Nichols,eWEEK]
eWEEK

 Vistaを買わない理由であれば、わたしはいくらでも指摘できる。でも、わざわざそんなことをする必要もなさそうだ。なにしろ、米Microsoftは自ら、Vistaの評判を落としてるようだから。

 例えば、米連邦地裁のマーシャ・ペックマン判事はちょうど先ごろ、Microsoftが虚偽広告を行ったとする集団訴訟の受理を決めたところだ(8月10日の記事参照)。では、Microsoftはどんな虚偽広告を行ったというのだろう?

 皆さんは、数カ月前に「Windows Vista Capable」というステッカーが貼られたPCがたくさん出回っていたのを覚えているだろうか? このステッカーを見て、誰もが、そうしたPCにはVistaを実行する「能力がある(capable)」のだろうと考えた。この訴訟の論点は、そうしたステッカーの貼られたXPシステムが実際にはWindows Vista Home Basicを実行する能力を備えるにすぎなかったという点だ。

 皆さんはVista Home Basicをご覧になったことがあるだろうか? その役立たずぶりはあまりにもひどいものだ。とにかく、Vista Home Basicでは、Vistaの一見魅力的なAero Glassインタフェースを実行できないだけでなく、DVDオーサリングのサポートもなければ、Media Centerのサポートもない。Windows XP Home SP2と比べてダウングレードと言っても過言ではないくらいだ。

 もちろん、そうしたVista Capableマシンを購入した人たちは、そのマシンでHome Basicを実行するつもりだったわけではない。彼らはVista Home PremiumかVista Businessを実行するつもりだった。というより、次のように言ったほうが、より正確だろう。彼らはVista Home PremiumかVista Businessを実行しようとしていたのだ。そしておそらく、そうした哀れな人たちの中には、最上位エディションのVista Ultimateを実行しようとした人だっているはずだ。

 そして実際にどうなったかと言えば、彼らは本当のところVista Capableマシンには「能力がない(incapable)」ことに気付かされた。まったく、やってくれるぜ、Microsoftは! MacファンやデスクトップLinuxのユーザーからではなく、Microsoftの顧客の間でVistaのことを「Windows Me II」と揶揄する声が上がっているのも、なるほど、無理からぬことだ。

 やれやれ。

 もう忘れてしまった人のために説明するが、Windows Millennium Edition(Me)はそれまでのWindowsのなかで最もひどいバージョンだった。そう、おそらく、最悪のバージョンだった。このランキングにはWindows 1.0も含まれている。どのみち、Windows 1.0には誰も何も期待していなかったけれども。

 ところで、MicrosoftはVistaに関して、もう1つ別のステッカーも使っていた。それは、「Windows Vista Ready」というものだった。Vista ReadyのPCは、理論的には、ただ単にVistaを実行する「能力がある(capable)」だけでなく、Vistaの実行に「対応している(ready)」ということだったのだろう。あるいは、逆に、こうしたシステムはただ単に「対応している(ready)」のではなく「能力がある(capable)」ということだったのだろうか?

 eWEEKの定期的な読者であれば、より優れたマシンがVista Readyとされていたことをご存知だろう。だがCircuit CityやBest Buyで買い物をする人たちのうち、一体どれだけがその違いを知っていただろう?

 顧客にいろいろ情報を提供するのは販売スタッフの役割だって? 勘弁してくれ! だって、中古車のセールスマンとコンピュータのセールスマンの違いは分かるだろう? 中古車セールスマンは自分が嘘を言っていると分かって嘘を付くものだ。

 だが、コンピュータの販売スタッフを笑い者にすべきではないだろう。結局のところ、彼らだって、実際に何を知っていたというのだろう? Microsoftが企業向けにVistaのハードウェアの互換性をテストするためのツールをリリースしたのは、ようやく2月20日になってからで、これは、Microsoftが昨年11月に企業向けにVistaをリリースしてからほぼ3カ月後、1月30日に一般向けにリリースしてから3週間後のことだった。

 さらに言えば、今、MicrosoftのVista Capableサイトを見てみると、「Vistaマシンには最低でも800MHzのプロセッサと512MバイトのRAMが必要」という、何とも馬鹿げた説明が書かれている。これでVistaに対応だって!? 違うだろう! これではせいぜいXP Pro Capableだ。

 そしてさらに重要なことは、わたしが思うに、裁判所だって、これがVista Capableマシンのシステム要件であるとは考えないのではという点だ。

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