第4回 教える仕事は「構造・シナリオ・アクション」で完結する新入社員がやってくる──専門知識を教える技術(3/5 ページ)

» 2008年03月13日 11時53分 公開
[開米瑞浩,ITmedia]

「シナリオ」=「学びのドラマのストーリー」

 2つ目の「シナリオ」を言い換えると「学びのドラマのストーリー」のことです。前の段階で専門知識の「構造化」をしたとして、じゃあそれをストレートに順番に「解説」していけば生徒は「理解」し、「覚えて」くれるかといえば、そういうわけにはいきません。人間はコンピュータではありませんから、「印象的な経験」でなければ、理解も記憶もすることはありません。要するに

  • ドラマチックな結末

 が欲しいのです。覚えなければならない「知識」がもし10あったとして、それを1から10まで単に丸暗記するような形で学んでいくのは少々つらいもの。1と2を土台にして3という発展型が生まれ、それが後の伏線となって最後に10番目の謎が明らかになる……! というようなストーリー性があれば最高です。

 実はこれをするためにも大事なのが前段階、

  • 知識の構造化

 の工程です。知識自体の構造化をきちんとやっておくと、その構造を活かしたシナリオを組みやすくなるわけです。

 ただし、

  • 構造を活かしてシナリオを作ることはあっても、「構造=シナリオ」ではない

 ことには気をつけてください。「構造」というのは専門知識自体に内在する性質であり、「シナリオ」というのはあくまでも、「教える」ための都合上必要となるものです。「構造」がそのまま「シナリオ」として使えるわけではないし、「シナリオ」を作るときに「構造」を必ず踏まえなければならないわけでもありません。要するに

  • ドラマチックなワンシーン

 を演出できればそれでいいのです。自分の教育プログラムをあらためて見直してみましょう。そこに、「ドラマチックなワンシーン」はありますか? ちなみに、その「ワンシーン」は1時間の授業のなかで30回あってもかまいません。

 なお、この「シナリオ」についてはもっと詳しく説明する必要がありそうですので、次回にでも改めて書く予定です。

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