第4回 教える仕事は「構造・シナリオ・アクション」で完結する新入社員がやってくる──専門知識を教える技術(4/5 ページ)

» 2008年03月13日 11時53分 公開
[開米瑞浩,ITmedia]

「アクション」=「講師の役者的パフォーマンス」

 3つめの「アクション」は、講師の役者的パフォーマンスのことです。要するに、

  • ゼスチャーを使う
  • アイコンタクトを使う
  • 表情を使う
  • 声の高低や強弱をコントロールする
  • 話すペースをコントロールする

 といった手法を駆使して、「シナリオ」が印象に残るように「演じる」こと。それが「アクション」です。「演技」という意味では「アクティング」という用語のほうが適切ですが、「アクション」のほうが誰でも知っている用語なので本稿ではこの言葉を使っています。

 今回冒頭で取り上げた「大学教授の講義」は、「まったくメリハリがなく一本調子で淡々と読み上げるような調子で」延々と続くものでしたので、「アクション」の観点で非常に点数が低かったわけです。

 「アクション」は最後に受講生に接する段階ですから、ここでコケるとそれまでのすべてが台無しです。必ず練習しておきましょう。

  • 「アクション」は、練習しておかないと絶対にできません

 しかも、資料であれば何度も書き直しができますが、アクションは基本的に本番一発勝負ですから、入念なリハーサルが欠かせないのです。

 この「アクション」の個別のスキルについては「プレゼンテーション」とほぼ共通です。例えば私の場合、テレビの通販番組のデモンストレーションなども参考にして練習したものです。

 実は、「アクション」が上手くなると、「シナリオ」に限界があってもある程度補えるようになります。「シナリオにはドラマチックなワンシーンが欲しい」と先ほど書きましたが、実際にはそうそう都合良くすべてのシナリオで「ドラマ」を作れるわけではありません。

 しかし、要は受講生に「印象づければ」良いわけですから、シナリオにドラマがなくても、アクティングでそれをカバーすることは可能です。そのためには少なくとも「メリハリのある声」が必要であり、「一本調子で淡々と読み上げ」ていてはいけないのです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ