個条書きで満足してはいけないプロ講師に学ぶ、達人の技術を教えるためのトーク術(2/3 ページ)

» 2009年04月07日 11時45分 公開
[開米瑞浩,Business Media 誠]

普通は個条書きで十分、しかしその弱点は知っておこう

開米 例えば、庄司さんのセミナーテキストの中では、このページあたりがいけそうです。

開米 これ、タイトルにあるように「営業マネジメント」の対象になる4つの領域を列挙して説明しているページですよね。このページでの想定トークを簡単にお話しいただけますか?

庄司 はい、ざっとこんな内容になります。

 営業をマネジメントするという場合、大まかに4つの領域がその対象になります。

 1つは、営業マンのモチベーションです。営業の仕事をするのは人ですし、人はモチベーションがないことには動きません。ですから、効果的に営業マンのモチベーションが上がる施策を仕掛けていく必要があります。これがモチベーション・マネジメントです。

 第2に、営業のプロセスを把握する必要があります。営業の仕事の大きなゴールは「注文を取ること」ですが、注文が取れたかどうかという結果だけを見るのではなく、その結果に至るまでのプロセスをきちんと分析して、だめなら適切な手を打っていかなければいけません。これがプロセス・マネジメントです。

 第3に、ナレッジです。売り込む仕事というのは、顧客の抱える課題を解決するためにこれを使ってください、という提案活動ですから、顧客がどんな課題を持っているか、それをどうすれば解決できるか、そのためにうちの商品をどう使えるか、その事例は、といった情報を、ナレッジを豊富に持っていないといけないわけです。しかもそのナレッジを営業チームで共有するのが大事です。それがナレッジマネジメントです。

 第4に、スキルですね。これらの活動を通して、営業マン一人一人が持っているスキル、そして営業チーム全体のスキルを向上させていくこと、これが大事です。

以上、モチベーション、プロセス、ナレッジ、スキルという4つの領域が、営業マネジメントの対象になります。



開米 ……はい、ありがとうございました。なるほど、このページはそういうお話なんですね。

庄司 ええ。4つ挙げたそれぞれについてはまた個別に詳しく話しますが、ここではおおまかに4つある、ということをかいつまんで説明しています。

開米 4個条、すべて「○○マネジメント」という形式にそろえていて、○○の部分はどれも1単語。そこに1行だけの簡潔な補足説明をつけた構成で、よく整理されてると思います。普通はこれで十分合格点です。

庄司 普通は、ですか。普通は(笑)。

開米 ええ。でも、普通で満足したくない場合は、もう一工夫できる余地があるんですよ。

庄司 ほほー、もう一工夫! といいますと?

開米 例えばですね、プロセスとナレッジの間には何か関係がありますか?

庄司 そうですね……。どんなプロセスがあるか、という情報自体がナレッジ、知識ですね。もちろんそのプロセスを遂行するためにどんな方法があるか、事例があるか、といったノウハウもナレッジです。

開米 ということは、プロセスを遂行するためにナレッジが必要、という関係であって、その逆とか、無関係ではないですね?

庄司 ええ、それはそうですね。プロセスを遂行するためにナレッジが必要、という関係です。その逆でも、無関係でもないです。

開米 ただの個条書きだと、それが表現できないんですよ。

庄司 なるほど……・

開米 試しに、「プロセスを遂行するためにナレッジが必要」という関係を図解してみましょう。思いついたままでいいので書いてみてください。

庄司 その一文だけですか? じゃあ、うーん……と、こんな感じかな?

開米 はい、十分です。まさしくそれです。プロセスは2個条目、ナレッジは3個条目に書かれてましたけど、その2個条目と3個条目の間をつなぐ「必要」というライン、これは書かれてませんでしたよね?

庄司 書いてないですねえ

開米 これが「個条書きの弱点」なんです。

 個条書きでは、各条相互の関係が分からない


 というわけです。

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