ボールペンでは世界初、水と油を混合――ゼブラ、エマルジョンインクの「スラリ」仕事耕具

「水と油は混ざらない」――そんな定説を“くつがえした”のが、ゼブラのボールペン「スラリ」だ。油性と水性を混合した「エマルジョンインク」(油中水滴型インク)を採用したボールペンは「世界初だ」という。

» 2010年04月13日 17時18分 公開
[鷹木創,Business Media 誠]
スラリ

 ゼブラは、油性と水性を混合した「エマルジョンインク」(油中水滴型インク)を採用したボールペン「スラリ」を5月24日に発売する。価格は105円。エマルジョンインクはこれまでもプリンタなどに使われていたが、ボールペンでは「世界初だ」(同社)という。

 ボールペンは、インクの種類によって水性ボールペン、ゲルインクボールペン、油性ボールペンの3種類に大別できる。水性ボールペンは染料系と顔料系に分かれるが、「にじみやすい水性染料インクのボールペンは国内ではあまり売れていない」(ゼブラ)という。インクが乾いて顔料が付着するタイプの水性顔料系ボールペンは、インクの出がなめらかなことが特徴。この水性顔料系インクを改良したものがゲルインクで、乾きやすくかすれにくい。同社のボールペン「SARASA(サラサ)」シリーズなどでも採用している。一方、油性ボールペンは乾きやすくかすれにくい特性を持つが、書き味はそれほど滑らかではないのが一般的だ。

 今回スラリに採用したエマルジョンインクは、水性インクと油性インクを3対7の割合で混合したもの。油中水滴型インクと呼ばれるように、油性インクの中に水性インクが混ざっている状態で、いわゆる乳化状態になっている。「油性のしっかりした手ごたえと、水性のさらさらした軽さを兼ね備えた、新世代のボールペン。今までにない滑らかな書き味と、鮮やかで濃い筆記線を実現した」。ジェットストリームなど、低粘度の油性インクを採用した“ドバドバ系”ボールペンよりもなめらかな書き味だという。

 ゼブラでは、1959年に油性インクのボールペンを発売して以来、1982年には水性インク、1992年には水性ジェルインクを提供してきた。「水と油は混ざらない」と言われていたが、「しっかり書ける」油性、「書き味が軽い」水性のそれぞれの長所を併せ持つエマルジョンインクの開発に挑戦したという。「まず黒芯だけで約50種類、それをベースに計約100種類を作成。全9色で1000種類以上を作成するなど試行錯誤を重ねた結果、油の中に水の滴を分散させる油中水滴型で、油と水(=水性ジェル)が混合した状態を安定・維持させることに成功。5年間かけて商品化に至った」

 大きさは140.0×11.0ミリ(全長×最大径)、重さは9.7グラム。耐水性や耐光性も備え、耐用年数は約2.5年。なお耐用年数は油性ボールペン(約3年)と、水性ボールペン(ゲルボールペンを含む。約1.5年)の間となる。インクカラーは、ボール径が0.7ミリタイプが黒/青/赤/蛍光イエロー/蛍光ブルー/蛍光ピンク/蛍光グリーン/蛍光オレンジ/蛍光バイオレットの9色。0.5ミリタイプと1.0ミリタイプが黒/青/赤の3色となっている。

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