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» 2011年01月14日 15時53分 UPDATE

あなたの不安、見積もります:ユビキタス・キャプチャーか、ライフログか――メモの“三日坊主”対策を考える

いわゆる「モレ本」などを読んで、MOLESKINEなどのノートにユビキタス・キャプチャーやライフログを取ろうと決意した人も多いかもしれません。ですが、年が明けてそろそろ辛くなってきてはいませんか? 続けるコツを考えたいと思います。

[佐々木正悟,Business Media 誠]

 『モレスキン「伝説のノート」活用術』(2010年9月9日発売)と『人生は1冊のノートにまとめなさい』(2010年11月26日発売)は、いずれも2010年秋にダイヤモンド社が出版した本です。



三日坊主になってませんか?

 『モレスキン「伝説のノート」活用術』の著者である堀正岳さんと中牟田洋子さんは、MOLESKINEにどんどん情報をためこむ「ユビキタス・キャプチャー」の手法を詳述しています。一方で、『人生は1冊のノートにまとめなさい』の奥野宣之さんは、特にノートの種類にこだわることはなく、行動のたびにその行動をノートに記録する「ライフログ」という手法を紹介していました。

 このいずれか、あるいは両方の書籍を購入して「よし、自分もやってみよう」と決意して、MOLESKINEノートなり、ほぼ日手帳なりを購入した人も多いのではないでしょうか。ですが、2011年も約2週間がたっていかがでしょう? そろそろ辛くなってきているかもしれません。

 先ほどの著者たちのように、誰に言われるまでもなく、せっせと日々の出来事やアイデアを記録し続けている人たちと違って、本を読んで急にユビキタス・キャプチャーやライフログに思い至った場合、問題は「記録を取ることの意義」がいまひとつつかめないということでしょう。

 「記録した時には重要と思わなかったことが、後から大事な意味を持ってくるかもしれない」「ログをためていくと思わぬ発見がある」「ノートが自分のことを見守ってくれている感覚」「後からその場の空気までよみがえってくる」――といったことはすべて、ログをためこんだ後に実感できる話。ノートを買って2〜3日後では、そういう“報酬”は手に入りません。

 わずか1週間でも、やり慣れないことをやり続けるというのは面倒ですし、嫌気がさすこともあります。結構長く続けてきているつもりなのに、まだまだノートは白紙のページばかり(特にMOLESKINEはページ数が多い)という状態が延々続きますと、投げ出してしまっても不思議はありません。

 そこで、気を取り直してMOLESKINEなりほぼ日手帳なりを、せめて今年1年だけでも埋めていくためのコツを考えてみたい思います。

ユビキタス・キャプチャーか、ライフログか

 結論から言います。あまりノートに記録する経験が多くない人は、まずユビキタス・キャプチャーをやるのか、それともライフログをやるのかを決めましょう。

 一定の分量をこなせばユビキタス・キャプチャーであれ、ライフログであれ、どちらを選択していても、成果は似たようなところに落ち着くはず。実際『モレスキン「伝説のノート」活用術』と『人生は1冊のノートにまとめなさい』の著者たちが言っていることには、重なる部分も少なくありません。

 ただし、いずれにしても「やったことがない」という人には、ちょっとだけ出発点が異なります。もちろん、日々頭に上ってくる事柄をつどつど書きためていくということなのですから、両者が重なってくるのは当然ですが、力点が少しだけちがうのです。

 ユビキタス・キャプチャーの場合、手法の元にGTDが関係しているわけですから、「頭が空の状態をキープする」という大事な目的があります。書くことのメインはしたがって、行動の記録ばかりではないのです。むしろエモーショナルな、あるいはカテゴライズしにくいアイデアのようなものが多くなっていくはずです。

 一方でライフログは、基本的に行動のログですから、外からも見える行動の記録に重点を置けばいいのです。ユビキタス・キャプチャーでとらえられることは、特に初めのうちは、他人にはうかがい知れないことが多いでしょうが、ライフログであれば、他人にも分かるはずのことを書いているのです。

 例えば、有楽町のおしゃれなカフェで、高いコーヒーを飲みながら打ち合わせしているとします。

  • 1/12 12:56 打ち合わせ中。有楽町のカフェで1200円のコーヒーを飲む。今度彼女を連れて来よう。
  • 1/12 12:56 打ち合わせ中。マンガのサザエさんが読みたくなった。

 上がライフログ、下がユビキタス・キャプチャーです。もちろん話を分かりやすくするための極端な事例ですが。。

 誤解のないようにいいますが、ライフログに内面のつぶやきが挟まることもありますし、ユビキタス・キャプチャーに行動記録が入ることはもちろんあります。ただ、フォーカスのポイントが少しずれていて、特に初めのうちは、そのズレが大きくなるはずだというだけです。

 どちらをやった方が、やりやすいか、面白いか、役に立つかを試してみましょう。行動の記録を淡々と取るのが簡単で面白くて後で見て役に立つと思うなら、ライフログに集中すればいいのです。

 そうではなくて、頭の中がごちゃごちゃしていて、内面を「外に書き出す」ことで、気持ちを整理し、スッキリするなら、ユビキタス・キャプチャーに熱中しましょう。それが快感となって、自分自身の行動を強化できるはずだからです。

 冒頭の2冊がアドバイスしている「タグ付け」や「索引」にこだわらず、まずはライフログを取ったり、ユビキタス・キャプチャーをしたりに集中すること。そのうち両者が混ざってきて、分類したり、整理したりしてもっと便利に使いたくなった時に、また本を読み返せばいいのです。

筆者:佐々木正悟

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 心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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