報告書作成は「客観的事実を正確に記す」「期日に遅れない」が原則若手社会人のためのビジネス文書作成マニュアル(2/4 ページ)

» 2013年06月14日 11時00分 公開
[須田稔,月刊総務]
月刊総務

 日報以外の報告書はある程度の時間の余裕がありますが、作成手順は大きく分けて次の3段階となります。

  • 第1段階(準備) … 資料、素材の収集・検証。
  • 第2段階(作成) … 多すぎないか、少なすぎないか、何枚くらいが適切かを意識しながら書く。
  • 第3段階(見直し) … 「読みやすいか」「重要な事項の漏れがないか」は特に注意。場合によっては第3者からのフィードバックをもらう。

 各段階をいつまでに行うかをスケジュール化し、提出期限に間に合わせることが最重要です。ビジネスパーソンは、人それぞれ実にさまざまな行動傾向性やクセを持ち合わせています。この行動傾向性やクセは実はとても大事なものなのです。

 例えばとても優れた技術者のCさんは技術のスキルは他の者を圧倒するほどのレベルなのですが、時間にルーズで何でも時間ぎりぎりまで引きずることが多く、業務報告書も決められた日時に提出することがほとんどありません。内容も明らかに手抜きと分かる陳腐なものです。また、実務面においても期日を守らないので他部署との摩擦を起こしています。この「時間にルーズ。手抜きをする」という行動特性が災いして優れた技術を業務上に生かしきれていないのです。

 逆にDさんは、技術は普通なのですが「やらなければいけないことを、期日を守り期待通りに行うことができる」という行動特性を持っています。その結果、上司の信頼度は高いのです。なぜなら上司にとってDさんは「計算できる戦力」だからです。反対に期待値にムラがあるCさんは戦力外とみなされても仕方がありません。報告に手を抜いて生きた情報を提供しない、秘密主義で何の相談にも来ない部下は、間違いなく上司から信頼を得られません。仕事ができる・できないとは別問題なのです。

 「報告書なんて、上司はちゃんと読んでいない」「きちんと書いたのに突っ返される」

 このような声が聞こえてきそうですが、そうではありません。読むに値しない報告書だから、さっと目を通しただけで突っ返すのです。

 日報、週報、月報は「何をした」「どうなった」「次のアクション」の3点セットが基本です。例えば日報では「E社のF課長以下5名に、新製品キャンペーンの企画案をプレゼン実施」「競合先のG社はすでに提出済み。2、3日後に結論を出すとの回答」「プレゼンの感触は良好。明日訪問時に、担当者Hさんへ当社企画案の良い点、問題点などをヒアリング」というような簡潔な書き方になります。事実のみを正確かつ具体的に書き、そこに自分の意見を一言加えるくらいで十分です。週報、月報も書き方は同様で、長いスパンな分、報告の件数が増えるだけです。これで上司は「今日、今週、今月、部下がどのような行動をしたか」が把握できます。毎日のように「あれ、どうなった」と聞かれることも少なくなるはずです。

 日報は、自分のその日の行動を振り返る「ビジネス日誌」として活用もできます。「あの得意先に見積もりを提出したのは○○日だった。2、3日後に返事をすると言っていたのに、もう1週間が経つがまだ連絡がないな。よし、催促してみよう」「今日はE社とI社の2社しか訪問できなかった。E社に2時間はかけすぎだ。F課長は話し好きで情報量は豊富だが、無駄な会話も多い。少しコントロールする必要があるな」というように、今日1日の行動や、数日前の行動の振り返りのツールとして利用するのです。

 ダメだったことや採用されなかった経緯などを報告しない人がいます。また「ダメだったことなど報告する必要がない」という上司もいますが、とんでもないことです。「ダメだったこと、不採用だった案件」にこそ、次につながるヒントが隠されているはずです。報告をする際は「ダメだったことは良かったことより重要だ」というぐらいの認識に立って行いましょう。

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