“指示待ち若手”をつくる悪魔のささやきそのひとことを言う前に(1/2 ページ)

「指示待ち人間」。使えないビジネスパーソンの典型例として話題に出てくることが多いですが、仕事をする中で指示待ち人間に育ってしまったケースも少なくありません。あなたも無意識のうちに部下や若手に次のような言葉をかけていませんか?

» 2015年01月15日 08時00分 公開
[岩淺こまき,Business Media 誠]

連載「そのひとことを言う前に」

 職場で感じるストレスの原因は、うまくコミュニケーションがとれないことによるものが多いようです。本連載では、伝え方や接し方、聴き方に至るまで職場でよくあるエピソードをもとに、仕事や物事がより円滑に進むようなコミュニケーションや考え方のヒントをご紹介します。言葉を受ける側の立場や気持ちを理解し、自分が発する言葉について見直してみてはいかがでしょう。


 新規プロジェクトの立ち上げや異動などで、新しく部下になった若手社員が“指示待ち人間”だった……、そんな経験はありませんか。上司側の立場とすれば、部下には主体的に動いてほしいもの。「運が悪いな」「やっかいなことになった」と感じる人も多いかもしれません。そんな“指示待ち若手”にあたってしまった場合、どうすればよいか、少し考えてみましょう。

 “言われたことしかやらない”のが“指示待ち”ですが(もちろん、仕事を覚える段階では指示に従うべき場面が多いですが)、こうした若手社員が最初から“指示を待っていたのか”というと、そうでもなさそうです。厳しいと言われる就職戦線を乗り越えたことを考えれば、意欲の高い人材も少なからずいるでしょう。

 よく耳にするのが、“入社後に指示待ちの姿勢を学んだ”“指示待ちに育ってしまった”というケースです。リスクを過度に恐れる、指示通り動いた方が楽など、彼らが指示待ちに流れる動機はさまざまでしょうが、上司側も気を付けるべきことがあります。知らず知らずのうちに、部下を指示待ちへと導くコミュニケーションをしているかもしれないのです。

photo もしかするとあなたも「指示待ち部下」をつくるコミュニケーションをしているかもしれません

「指示待ちが楽」だと気付いてしまう?

 先日、あるSEの方(Aさんとします)から受けた相談が印象的でした。

 Aさんは入社後、研修を経てプロジェクトに配属されました。新人のうちは、バグとりや簡単なツール作りなどが業務として割り当てられたそうです。当時のリーダーが細かく指示を出してくれたのはありがたかったと言うのですが、それが逆に悩みの種にもなったと言います。

リーダー: Aさんはこのツールを担当してください。以前作成したのがここにあるから、これ見ながら。木曜日の13時にいったん私に見せて。レビューするから。

Aさん: はい。これを見ながらですね!

(確認後)

Aさん: あの、この部分はこういう作りの方がよさそうなんですけど、どうしましょう。

リーダー: うーん。ひとまずいいから、この通りやって。

 またある日は、次のようなやりとりもあったと言います。

リーダー: じゃ、明日例の案件の打ち合わせをするから、議事録頼んだよ。

Aさん: はい……すみません。ちなみにこの打ち合わせの目的って何でしょうか。

リーダー: え? まぁいいから、とりあえず参加して。参加したら分かると思うから。

Aさん: (いいんだけど、準備ができないってのもなぁ……)

 話の中でAさんは「新人研修で、目的意識を持ったり、仕事の意味や背景を知る意識をするよう言われていたので、『いいから、黙って、やれ』というニュアンスに驚きました。従っているうちに、指示された事をしているだけの方が楽だと気づいた」と言いました。周りにいた人ほぼ全員が同意したことをみても、そういう経験をする若手は少なくないのでしょう。

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