今回のプロジェクトでは、ゾーホージャパンの松本さんが技術アドバイザーとして参加。サンバファームと三つ豆ファームという2件の農家の仕組みづくりを、クラウドサービスのZohoで試験的にサポートします(※)。
まずはサンバファームに対し、納品書・請求書、宅配便の送付書などの一括印刷などができるフローを整えました。
松下さんは「今回の仕組みを使うと、数日かかっていた納品書・請求書の発行、宅配の発送伝票の印刷が1日ですむので、自然とサンバファームの商品の差別化や販売促進について考えるようになりました」と、本業に専念できるようになったのが大きな効果だったといいます。
松本さんは、プロジェクトを進める上での共有事項として、サンバファームのデータは移行しやすいものだったことを指摘。サンバファームでは、見た目やレイアウトを意識した「人に優しいデータ」ではなく、「データベースに優しいデータ」で管理をしていました。例えば表記の統一など、受け渡しをしやすい形でデータを管理していたのが、次のステップへスムーズに進む重要なカギになったと説明します。
クラウドの本格活用を検討している山木さんは、プロジェクトの最初の成果は「仕事のフローを俯瞰(ふかん)的に整備できたこと」だと振り返ります。将来、従業員を増やすことを想定している三つ豆ファームにとって業務フローの整理は、「仕事の分担を考えるためにも、いつかはやらなければならなかったこと」だったからです。
「“個を際立たせた農家”へと変わっていくために重要なのは、ツールを使うのが目的になったり、ツールにふりまわされりしないこと。上手にインフラを整え、利用していくことが大切」――。これが、今回の勉強会で久松さんが伝えたかったメッセージです。
今後、「農業後方支援プロジェクト」では、2つの農家の業務改善を一定水準まで引き上げ、会計や販売促進といった、小さな農家が自分だけで抱えるにはちょっと「しんどい」というテーマをとりあげる予定です。